空と海を自在に結び、北海道を優雅に旅する。雄大な自然と歴史、美食を訪ね、「飛鳥Ⅱ」で豊かな船上時間を味わう。移動さえも旅の楽しみに変える、北海道フライ&クルーズ。
函館、小樽を巡り、「飛鳥Ⅱ」とともに海へ
旅の舞台は北海道。伊丹空港から函館へ飛び、道内を空路で小樽へ移動し、そこから「飛鳥Ⅱ」の3泊4日のクルーズへ。函館での前泊を含む4泊5日で、北海道の街、手仕事、食を味わうフライ&クルーズの旅だ。
函館は、異国情緒漂う港町。洋館が並ぶ元町を散策し、ひと休みしたのは、「函館市旧イギリス領事館」。ティールームでは、英国王室御用達のウェッジウッドの茶器で、英国スタイルのアフタヌーンティーを味わえる。庭園を眺めながらヴィクトリア朝の優雅なティータイムに身を置けば、港町の歴史に思いを馳せるひとときも格別だ。
翌日は函館空港から札幌丘珠空港へ。鉄路で約4時間の函館~札幌も空なら約40分。眼下に広がる北海道の大地を眺めながら、次の目的地へ向かう。
到着した小樽では、明治の開拓から約150年の時を重ねる風土に惹かれ、この地で誕生した美しい小樽焼を受け継ぐ窯元を訪ねた。歴史ある建物を活かした古民家カフェにも立ち寄り、和菓子とお茶でひと息。街に残る記憶と新しい感性が調和する小樽を歩いた後、夕刻、いよいよ「飛鳥Ⅱ」へ。
郵船クルーズが運航する「飛鳥Ⅱ」は、日本船籍最大級の豪華客船。客室はすべて海側で、約半数がバルコニー付き。日本船ならではの笑顔溢れるアテンドを受け、心地よい船旅が始まる。
出港を迎えると、岸壁では和太鼓とフラダンスによる華やかなお見送りが。プロムナードデッキにはシャボン玉が舞い、乗客たちがウェルカムドリンク片手に岸壁へ手を振る。銅鑼の音が響き渡る中、船は白い航跡を残し、ゆっくりと岸を離れていった。
今回滞在するのは海側バルコニー付きの客室。ゆとりある空間にバスタブも備わり、航海中も自分のペースでくつろげる。荷物をほどいたら、まずは12デッキの「グランドスパ」へ。移動で疲れた体をジャグジーでほぐした後、潮風を感じながら海を眺める露天風呂は、忘れがたい体験だ。移ろいゆく空の色に時を忘れ、湯に身を委ねる贅沢を堪能する。
多彩な船内施設を備える「飛鳥Ⅱ」では船内のカフェやレストランを気軽に利用できる。初日のメインダイニングはフレンチのコース。上富良野牛のグリエを同じく北海道産の山わさびでいただく。船上で味わう北の恵みが、旅の始まりを彩ってくれる。
波が穏やかな夜。バルコニーに出ると、遠く利尻富士のシルエットが浮かび上がり、空には満天の星が。さらに、丸い月から海へと光の道が延びている。船上だからこそ出合える静かな月光浴のひとときだ。
文=大嶋律子(ジラフ) 写真=志水 隆
CREA Traveller 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
