前篇では、福岡・柳川の料亭旅館「柳川藩主立花邸 御花(おはな)」(以下、御花)で繰り広げられた、妖怪提灯アートイベント「奇怪夜行2026」の様子をお届けしましたが、この夜の異界は御花の中だけでは終わりません。

 後篇では、サテライト会場の三柱神社や、まちの掘割(水路)をたどる「妖怪舟」で触れた濃密な闇の世界をお伝えします。

» 【前篇から読む】文化財が“あやかし”の棲み家になる夜――福岡【柳川藩主立花邸 御花】恒例のアートイベント「奇怪夜行2026」で体験した、奇妙で愉快な真夏の夜の夢


立花家ゆかりの物語が息づく神域、三柱神社

 まず向かったのは三柱神社。柳川藩の初代藩主・立花宗茂と、その妻・誾千代(ぎんちよ)、そして誾千代の父である戸次道雪(べっきどうせつ)の三神を祀る神社です。

 関ヶ原の戦いで一度は領地を追われながら、旧領に復帰を果たした唯一の大名として知られる宗茂にちなみ、「復活の神様」として地元で篤く信仰されてきました。境内は掘割に囲まれ、国指定名勝「水郷柳河」の一部とされています。

 春には流鏑馬神事や桜の名所として、秋には秋季大祭「御賑会(おにぎえ)」で、大勢の参拝客が訪れます。

 参道に現れたのは、誾千代、宗茂、戸次道雪という立花家の三神をモチーフに、想像力豊かに描かれた提灯。なかでも目を引いたのが道雪の一張で、稲光と雲を切り裂くように描かれた勇壮な構図は、落雷を刀で斬り伏せたという逸話をそのまま絵にしたかのようでした。敵からも大いに恐れられたという、立花家の武勇伝を彷彿とさせます。

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