「私は人を外見や肩書で判断しない」――そう信じている貴方へ

 脳科学の視点から申し上げれば、自分は人を外見や肩書で判断していないという自意識は、都合のいい幻想に過ぎません。私たちの脳は、いちいち相手の本質を見極めるために、膨大な情報を出会った瞬間に素早く掻き集めて迅速に処理する、といった力には、残念ながら恵まれてはいません。

 しかしながら、相手を素早く見極めないと、生命の危険にかかわる場合もある。それゆえに、膨大な計算をざっくり簡略化して処理する、という知的手抜きを、瞬間的にやっているのです。それが、「見た目で判断する」ということです。

 相手の本質など、誰からも見えません。内面が可視化されていると信じているそこの貴方、そういう人ほど、信じている人に騙されたり、足をすくわれたり、詐欺にあったりしてしまうリスクが高いのです。私たちは「見た目」という名のショートカットを使って、一目で相手を値踏みし、自分との差異や距離を決定してしまうのです。

 誰しもが、この構造から逃れることはできません。この「色眼鏡」の共犯者であるのです。もし全員が黄色の眼鏡をかけていれば、世界は黄色には見えません。そこで「本当は違う」と叫んでも、周囲からはおかしな人だと思われ、排除されるだけでしょう。

 マウンティングの根源にあるのは、この明文化されていないコミュニティの歪んだルールです。

 絶対評価の噓に気づくことです。いかにその社会が絶対評価を謳おうとも、基準をつくるのは主観的でしかあり得ない人間です。これは人類の知的怠慢が生んだ、傲慢なルール設定ですが、糾弾しても仕方のないことです。

 どんなにこの構造の不正を告発しようが、人類の脳に知能の生理的限界が存在し、人類が愚かであり続けることが既定路線である以上、構造が大きく変わることはないからです。

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