CREA Traveller 2026 夏号は「ポルトガル」特集。ヨーロッパ大陸の西の果て、大西洋の大海原を見つめてきたポルトガルの歴史と文化には、海との繋がりが常にあった。郷愁を表現する“サウダーデ”を胸に秘めた情緒的な側面に触れ、海風と太陽、人々の温もりで健やかな感性を取り戻す旅へ。

CREA Traveller 2026 夏号

海風と太陽に誘われてポルトガルに会いに行く

特別定価 1,800円

 “美術館のような街”と言われるポルトは、アズレージョで装飾された教会、ステンドグラスから光が注ぐ芸術的な書店など、華麗な宝物で旅人を迎える。


人々に歴史や教えを伝える旧市街のアズレージョ

 ポルト歴史地区には、ポルトガル建築によく使われる絵タイル、アズレージョが壁一面に施された教会や駅舎があり、その光景は童話の世界に入り込んだような没入感がある。タイルの数としてはリスボンのほうが多いが、ポルトはアズール(青)色を使った絵画調の大作が主流となっているため“アズレージョの街”の印象が強い。

 高台にある12世紀頃に建立された市内最古の建造物「ポルト大聖堂」の回廊は、18世紀になってからアズレージョが装飾され、タイルを組み合わせた大きなパネルで聖母マリアの一生の絵が描かれている。ターミナルステーションのサン・べント駅の駅舎の壁はポルトガルの歴史や、ドウロ渓谷沿いのブドウ収穫の様子を描いた絵に彩られ美しい。

 代表的な教会「アルマス聖堂」は、1万6,000枚ものアズレージョが施され、圧倒的な存在感を放つ。

 ショップやカフェが軒を連ねるサンタ・カタリーナ通りにあるため行きやすく、昼や夕方の日差しの変化、小雨が降る日など、訪れるタイミングで違った表情を見せる。

 様々な紋様があるアズレージョだが、幾何学模様で多色使いのものは古い時代、ポルトでよく見られる青と白の劇画調の作品は20世紀前半のものが多い。当時は成人の識字率が低かったため、絵を通じて聖書の教えや歴史などを伝える役割も果たしていたという。

 磁器製のタイルは一枚、一枚を職人が絵付けし窯で焼き手作業で作っている。街を歩いていると修復中の場面を目にすることがあり、手間をかけ美しい文化を守り続けていた。

次の記事に続く 「タイルに刻まれる“時”こそが美しい」リスボンの老舗ア...

CREA Traveller 2026年夏号
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