本物の“人生を楽しむ力”を伝えたい

 最後に、マンガの『赤と青のガウン』を通して、池辺さんは読者にはどんなところを楽しんでほしいかをうかがってみた。

「心弾む気持ちで読めるって貴重ですから、シンプルに『面白い』『興味深い』と思ってもらえたらそれだけでいいのかな。私がエッセイから感じたことがそれだったので。

 私は殿下ほどには目の前の世界をキラキラした目で見ていなくて、だから、あの次元に自分を持っていくために自分を整えることには苦労しているんです。やっぱり殿下の視点と私の視点、もちろんしてきた経験も全然違います。描いていて楽しいとはいえ、プレッシャーや難しいこともないわけではありません(笑)。

 ただ、ご身分があっても、ときに感じる孤独や学問を続ける大変さは普通の人たちと同じというか、しんどいこともたくさんあるわけじゃないですか。さらに、その責務の重さはいかほどかと思います。それでも殿下は制限された自由の中で、人生を大切になさっている。そういう本物のパワフルさを感じてもらえるようなマンガでありたいなとはずっと思っています」

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『マンガ 赤と青のガウン 第1巻』

新潮社 原作 彬子女王/漫画 池辺葵 1,540円
「命を吹き込むとはこういうことなのかと、ぞくぞくした」(彬子女王)。女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王殿下。一人で街を歩く心地よさと寂しさ、論文に追われた日々、支えてくれた友人たち――英国での苦しくも輝かしき青春を『ブランチライン』の池辺葵が繊細な筆致で描き出す。殿下の特別エッセイも収録。
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彬子女王殿下【原作】

1981年、故寬仁親王殿下の第一女子として生まれる。学習院大学在学中及び卒業後に、英国オックスフォード大学マートン・コレッジに留学し、女性皇族として初めて博士号を取得(専攻は日本美術)。京都産業大学日本文化研究所特別教授、一般社団法人心游舎総裁などを務める。著書に『赤と青のガウン オックスフォード留学記』『飼い犬に腹を噛まれる』(PHP研究所)、『京都 ものがたりの道』(毎日新聞出版)、『日本美のこころ イノリノカタチ』(小学館)、『日本文化 寄り道の旅 』(扶桑社)などがある。


池辺葵【漫画】

2009年デビュー。同年より、『繕い裁つ人』(講談社)の連載を開始(のちに映画化)。14年、『どぶがわ』(秋田書店)で第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。この年、『プリンセスメゾン』(小学館)も連載開始。18年、『ねぇ、ママ』(秋田書店)で第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。ほかの代表作に『かごめかごめ』(秋田書店)、『雑草たちよ 大志を抱け』(祥伝社)などがある。現在、『FEEL YOUNG』(祥伝社)で『ブランチライン』を連載中、2024年12月より小説新潮で、2025年1月よりくらげバンチで『赤と青のガウン』の漫画版連載をはじめる。

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