北九州で書店員として働きながら、怪談語りチャンネル「禍話(まがばなし)」を配信し続けてきた怪談の語り部かぁなっきさん。彼が集めてきた実話怪談は優に3,000話を超えており、放送も今年で10周年の節目を迎えています。

 最終回となる今回は令和を代表するネット怪談の震源地である禍話から、とあるサークルの奇妙な合宿に誘われた女子大生の体験談をご紹介します――。

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去年のGWの写真だけが少ない“違和感”

 Dさんが大学1年になり、選んだのは「地域文化研究会」略して“地文研”という、いかにも大学公認という印象のサークルでした。

 周りはテニスサークルだの軽音サークルだのと、大学生らしい活気に満ちたサークルを選びがちでしたが、活発すぎる人付き合いが苦手で、熱狂できるほどの趣味もなかった彼女にとって、落ち着いた雰囲気の地文研は性に合っていました。

 また、堅苦しい名前とは裏腹に、地文研の実態は調査という名目で合宿に赴いてはのんびりと過ごすゆるい飲みサークルであり、Dさん的にはこのゆるさこそ加入した大きな理由だったそうです。

「結構、写真いっぱい撮るんですね」

 まだ慣れない部室を物色していたある日。Dさんは写真アルバムをパラパラとめくりながら、2個上のI先輩に何気なく問いかけました。

「ゆるいサークルだけどさ、思い出くらいはしっかり残そうという謎の情熱と伝統があって、どの行事も全部写真に収めようとするんだよね」

「へー、確かに結構昔から写真アルバムありますね。本当にいろんな写真を……」

 1年前のアルバムを見ているとき、Dさんのページをめくる手が止まりました。

 どの季節もそれまでほとんど同じ数が収められていた写真の中で、去年の大型連休の頃だけが極端に少ない、もっと言うとほぼ写真がなかったのです。

「あの、去年の――」

「お疲れ~。私が言ってたチョコあった~?」

 別の先輩がコンビニから帰ってきたことで解けてしまった会話の空気。

 Dさんの疑問に答えが出るのは、それから程なくしてやってきた大型連休中でのことでした。

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