この記事の連載
中島美鈴さんインタビュー前篇
中島美鈴さんインタビュー後篇
「意思決定がうまくできない」5タイプ

――あらためて、「もじせか」について教えてください。
中島 「もじせか」は、私が講演や研修の中で使っているオリジナルの造語です。「問題の明確化」「情報収集」「選択肢の作成」「価値判断」の頭文字をとった言葉で、意思決定が苦手な人でも使いやすいよう、あえて4ステップに簡略化しました。
この4ステップで心を整理していくと、自分のなかに選択の基準が生まれ、状況に合わせた意思決定ができるようになります。
――先ほどの「情報過多」というお話を「もじせか」のステップで見ると、やはり「情報収集」でつまずく方が多いのでしょうか。
中島 そう思いがちですが、多いのは実はステップ1の「問題の明確化」です。簡単なように思うかもしれませんが、この段階でつまずいている方が圧倒的に多いのです。
「こんな毎日はいやだから変えたい」「仕事が合わないので転職したい」と言いながら、スマホばかり見ている――。そんな方が多い印象です。
問題を認識しても、解決のために何も動かずにいれば、それはただの愚痴で、いつまでたってもゴールには近づけません。
問題を明確化していくためには、まずは問題が何かを自覚し、問題が解決した先にあるゴールをイメージする。これができてはじめて、次のステップへ進むことができるのです。

――本の冒頭で紹介されているつまずきパターンでは、「意思決定がうまくできない」人を5つのタイプに分類して分析。自分が「もじせか」のどこでつまずきやすいのかが、大変わかりやすく分類されていました。
中島 「意思決定がうまくできない」とひと口に言っても、その傾向は人それぞれです。ステップ1の「問題の明確化」でつまずきやすい方がいれば、ステップ2の「情報収集」でつまずきやすい方もいます。そこで、陥りがちな傾向を5つのタイプに分類して、自分の「つまずきポイント」がどこにあるかを探る目安にしました。
――どんな5タイプですか?
中島 (1)「モヤモヤのまま放置」タイプ、(2)「情報の海に溺れて混乱」タイプ、(3)「自分の価値基準があいまい」タイプ、(4)「決断を先延ばし&保留」タイプ、(5)「即決しすぎて失敗」タイプの5つです。
でも、なかには「転職についてはタイプ(1)だけれど、洋服を買う時にはタイプ(5)になりがち」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それもご自分の傾向のひとつと知ることで、次のアクションを起こしやすくなります。
2025.07.30(水)
文=相澤洋美
撮影=平松市聖