万が一、性犯罪に巻き込まれたら? 泣き寝入りしないための証拠の残し方

証拠を残すというとハードルが高く聞こえるが、いくつかポイントがある。
●「これはまずい」と感じた時点で、録音・録画できたらベスト。
● アザなどがあれば自分の体の状態を写真・動画で自撮りするのも有効。
● スマホのメモアプリに実況記録を残すのもええ手や。
● 体についた唾液などは、シャワーで洗浄する前に脱脂綿などで拭き取り、ビニール袋に入れて、警察に提出する。
● 唾液、体液、髪の毛、陰毛、避妊具、ティッシュなども可能なら保存。
● 行政機関や民間相談窓口への相談も、「第三者に話した」という記録として証拠になる。
今は捜査技術も進化して、ほんのわずかな量の唾液や体液からでもDNA を採取することができる。過去には被害を受けた女性によって、こっそり持ち出された犯人の陰毛が逮捕の決め手となったこともある。
性被害に遭ったとき、交番ではなく被害に遭った現場の最寄りの警察署に駆け込むことをオススメする。今の刑事事件は「発生現場主義」といって、事件の発生現場の最寄りの警察署が事件を担当するのが基本となっておるからや。たとえば、A市のホテルで無理やり性行為をされたのなら、A市の警察署が事件を担当するっちゅうわけや。
女性警察官に話を聞いてほしい場合、あらかじめ「〇月〇日に無理やり性交された。〇〇という証拠がある。できれば女性警察官に来てもらえませんか?」と電話を入れてもらうのもいい方法や。また陰部に精液が残っている場合は、警察と提携している産婦人科の医師が対応している。
証拠を残したり、警察に行ったり、被害者が頑張らなければいけないことが多いのは理不尽や。しかし「備え」として、こういった知識も持っていてほしいと思う。

秋山博康(あきやま・ひろやす)
通称「リーゼント刑事」。元・徳島県警捜査第一課警部。1979年徳島県警拝命。1984年、23歳で刑事になると、殺人など凶悪犯罪の最前線の捜査第一課と所轄刑事課を中心に31年間刑事として捜査を担当。「おい、小池!」で有名な殺人指名手配事件に長らく携わった。警察人生42年、2021年3月に定年退職し、現在は犯罪コメンテーターとしてメディア出演やYouTube配信、講演会活動を精力的に行っている。
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2025.06.21(土)
文=秋山博康
本文挿絵=むらまつしおり