役作りのため、2カ月のジム通いで8キロ増量

――「文武両道」である千尋の役作りについて教えてください。

 やなせたかし先生が書かれた「おとうとものがたり」を読み、真摯に役と向き合いながら演じようと思いました。そして、柔道家に見える身体作りを目指しました。前の現場だったドラマ「ひだまりが聴こえる」では線が細く、痩せ型の役どころだったので、二ヶ月程度、毎日のようにジムに行って、体重を増やし、筋肉に変える作業から始めました。そして、腕や肩周り、胸あたりを中心に鍛え、最終的に8キロ増量しました。

――兄・嵩役の北村匠海さんとの共演はいかがでしたか?

 距離は近い方が兄弟としての空気感も出るので、匠海さんとは本当にいろんな話をさせてもらいました。プライベートの話もしましたし、個人的にアクション作品が好きで、「あんぱん」でも兄弟喧嘩のシーンもあるので、アクション全般についてや、これまで匠海さんが出演されたアクション映画の話も聞きました。そして、「前蹴りのときは、足を出さずに腰から出す」といった専門的なアドバイスもいただき、いつか本格的なアクション作品に出演したいと思いました。

――そのほか、現場で影響を受けた共演者の方はいますか?

 ヤムさん、草吉さん役の阿部サダヲさんです。やはり、阿部さんにしか演じられない役どころだと思いますし、間近で阿部さんのお芝居や引き出しの多さを見ることができる贅沢さもありました。また、どこか堅苦しい千尋はヤムさんにいろいろと解してもらい、助言してもらう役どころでもあるので、そういった意味でも影響を受けたと思っています。

2025.06.12(木)
文=くれい 響