カナダ出身の内科医ウィリアム・オスラー博士が、「ヒトは血管とともに老いる」と述べたように、健康長寿には若い血管が不可欠です。

 検診受診者の検討から京丹後市における血管年齢は、男女とも全国平均を10歳ほど下回ることがわかり、現在その原因として、腸内細菌以外に、全身の炎症や代謝の関与が考えられ、研究が続いています。

 食事のレシピと生活習慣のレシピ、地域コミュニティのあり方のレシピ、そしてまだ未解明なレシピ、その複合結果としてこの地域の健康長寿は成り立っていると考えています。早速わかってきた真似のできそうなところから学んで、明日からの行動に活かしたいと思います。

 
 

的場聖明 京都府立医科大学大学院 医学研究科循環器内科学・腎臓内科学教授。1990年3月、京都府立医科大学医学部卒業。2003年4月~2006年7月、アメリカ国立衛生研究所心臓肺血液研究所 Cardiovascular Branch 研究員。2015年8月~現職。2016年10月~京都府立医科大学長寿・地域疫学教授(併任)。2018年3月~京都府立医科大学不整脈先進医療学教授(併任)。京都府立医科大学副学長。専門分野は心臓病学、再生医学、長寿研究。


 本書では、100歳以上の長寿者(百寿者)たちの談話を紹介するとともに、百寿となるにはどのような秘訣があるのか、とりわけ具体的な食生活について探っていきます。

 なお本書は、京丹後市による百寿者への聞き取り調査をレポートした4冊のブックレットを再編集したものです。ここに登場する百寿者はすでに鬼籍に入られた方がほとんどで、記載してある年齢は取材時のものであることをお断りしておきます。

編集部記す


「はじめに 京都府丹後地域には、なぜ長寿者が多いのか」より

奇跡の100歳長寿地域「京丹後市」の秘密(文春新書 1484)

定価 990円(税込)
文藝春秋
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2025.03.23(日)