手作りのできたて和菓子も

 笹外郎の他にも、高崎さん手作りの、できたての生菓子が用意されています。

 練り切り、きんとんなど、季節に合わせた、見て愛らしく、食べておいしいものが3種類。「お菓子作りが好きで、いろいろ習ってきました。ひとつずつ、ていねいに作っています。できたての生菓子で季節を感じてほしい」と高崎さんはにっこり。オススメのお茶を合わせて気軽に味わうことができます。

 お茶は、京都・宇治のもの。ていねいにいれたお茶のおいしさに心が和みます。もちろん、お菓子との相性も抜群。

 高崎さんは、西宮市苦楽園にあった「茶家」という日本茶とお菓子のカフェで働いて、「自分でもお店がしたい」と思うようになりました。働きながら、日本茶インストラクターの資格を取り、洋菓子や和菓子作りを習います。「茶家」閉店後は、芦屋市の茶庵「瀧家」にて、お仕事をしながら、和食や器について、おもてなしについて学んだと言います。その後、実店舗なしで「笹外郎屋」を開業。「瀧家の皆様のお力をお借りして、今の店舗を構えることができました」とにっこり。

 お店を持ちたいと働き、学ぶうち、「自分だけのお菓子を創り出したい」と思うようになった高崎さん。そんな時に知ったのが、津軽半島で笹餅を作る、当時93歳だった桑田ミサオさん。「ミサオさんの本を買って、レシピ通りに作っても、納得のいくものができない。ある日、母の出身地、山口県の外郎はわらび粉を使っていると思い至り、それをヒントに、材料を変えてできたのが“笹外郎”です」

 店名にした笹外郎は、高崎さんが、毎日、ひとつずつていねいに笹の葉で包んで仕上げています。1種類を1回に16個。午前中に売り切れてしまうことも、しばしば。

 開店から半年、笹外郎の他にも、高崎さん手作りの和菓子が人気を集めるようになりました。

 「いちご大福」は、酸味のきいた苺と上品な白餡、優しい口当たりのお餅のバランスが抜群。

 和洋折衷の「キャラメルくるみ大福」は、キャラメリゼしたくるみの香ばしさがこし餡の風味を引き立てます。

 「紅茶に合う洋菓子も手作りしています」と、高崎さん。取材時の「ガトーブルトン」やキャラメルケーキが、カウンターにさりげなく置かれています。イートインの際には、淡路島のミルクアイスが添えられるなど、うれしいひと工夫が。

 パフェや焼き餅入りのお善哉、小腹が空いていたら「たい焼き型もなか」など、その日の気分で選べば、楽しいおやつタイムになります。

「1人でこだわって作り、毎週金曜日には笹外郎の発送もしているので、お店は週3日の営業です。おばあさんになるまで長く続けたいですね(笑)。お菓子やお茶で、暮らしが豊かになる。お菓子とお茶の世界をもっと広げたい」

 ほっこり、優しい、和菓子喫茶です。

笹外郎屋

所在地 兵庫県西宮市西田町1-3 阪急夙川サンらいふ南側
電話番号 0798-24-1651
営業時間 10:00~16:00
定休日 日・月・火・金曜
https://sasauirou-ya.com/
Instagram @sasauirouya

Column

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生まれも育ちも神戸の生粋の神戸っ子で、長年の関西での取材経験からおいしいお店を知り尽くしている、ライターのそおだよおこさんが、関西の「今、食べてほしい!」というおやつを紹介します。

2025.03.09(日)
文・撮影=そおだよおこ