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『マイティ・ソー』共演者から助太刀が…運命的な家族との“再会”

 戦後、横浜に駐留するアメリカ軍の若い料理兵は15歳年上の日本人女性と恋をして結婚した。浅野さんのお祖父様とお祖母様ですね。やがてお母様の順子さんが生まれますが、アメリカ軍の引き揚げに伴い家族は生き別れに。というのも、お祖母様は渡航手続きまでしたのに日本に残ることを選んで離婚なさったから。

 番組の後半は浅野さんと順子さんも出演されて、お祖父様が若い頃に世界大恐慌があって進学もままならなかったこと、帰国後に再婚されたこと、その真面目なお人柄などがお二人の前で次々に明かされていきました。最後にお祖父様が肌身離さず持っていた写真が出てきます。写っているのは髪をカールにした愛らしい少女の順子さん。浅野さんと順子さんも泣いていらしたけど私はもう大号泣。

浅野 あれはやられましたね。祖父が日本に残した母のことを思い続けていた証拠ですからね。

 祖母からは「おじいちゃんの祖先はインディアン」と聞かされていて、公式プロフィールにも「祖父の先祖はネイティブ・アメリカン」と書いていたんですよ。

 子どもの頃の僕は金髪に近く目も茶色がかっていて、よく英語で話しかけられたんです。自分の容姿は祖父譲りなのかな、祖父のことを知りたいなと思っていました。

 30代の半ばに初めてハリウッド映画『マイティ・ソー』への出演が決まり、近所の英語教室に通い始めると、先生が「おじいさんが軍人だったのなら、軍人の識別番号があれば消息がわかるはずだ」と教えてくれました。幸い祖母はその番号を控えていた。先生が親戚のニューヨークの警察官に連絡して調べてくれたんです。すぐに祖父は既に亡くなっていること、インディアナ州に住んでいたことがわかりました。ハワイに住む別の友人もいろいろ調べてくれて、祖父が埋葬されたインディアナ州の墓地を突き止めました。

内田 そこまで捜し当てていたんですか。

浅野 まだまだ続きがあるんです。『マイティ・ソー』で僕が演じたのは、クリス・ヘムズワースが演じた主人公ソーの強い味方となる三銃士の1人です。ある日、別の1人が突然クビになって代わりにジョシュア・ダラスという俳優がやってきた。ジョシュアはインディアナ州の出身で、事情を話すと、その墓地なら彼が通っていた高校の真ん前だという。すぐにお母さんに電話してくれて、お母さんが祖父のお墓の写真を撮って送ってくれたんですよ。

内田 浅野さんって知り合った人が何かしら手がかりを持っていて、次々に手を貸してくれるんですね。

浅野 お陰で、撮影が休みの日に急遽、インディアナに飛んで、祖父のお墓参りができました。祖父が最後に住んでいた家の住所もわかったので訪ねてみたのですが、赤の他人が住んでいた。

 続いて出演した『バトルシップ』でついてくれた通訳が、「アンセストリー・ドットコム」という先祖を調べられるサイトがあることを教えてくれたんです。検索するとあっという間に祖父は8人兄弟だということがわかりました。ここまで調べ上げたところで『ファミリーヒストリー』の話が来たので、こんな情報がありますよとお渡しし、それ以上の調査は番組に託しました。

2025.01.17(金)
文=こみねあつこ
写真=平松市聖