ーーひとつの部族が暮らしている村なのですか。

太田 ワンピス族たちが暮らす村です。彼らは気候変動や環境問題に対して声を上げていて、ペルー国内で初めて先住民による自治政府を樹立してるんですよ。大統領がいて、自分たちで憲法を作っていて、森を守る方法も自分たちで決めていくって姿勢で。

 例えばアマゾン・ウォッチとか、国際的なNGOも彼らを支援していろいろなノウハウを教えたりもしていて。今世界的注目を浴びている民族です。僕自身も外部の協力者としてこれまで彼らと関わってきて、今回の滞在中もNGOに提出する書類を一緒に作ろうってなってたり。

ーーNGOはどんなノウハウを。

太田 たとえば、太陽光発電を導入してその電力で彼らはラジオ・ワンピスっていうラジオ局を運営しているんですけど。そのやり方や機材のセッティングなんかもNGOから教わっていて、フォトグラファーもジャーナリストもいます。

 彼らは昔ながらのヤシの葉で葺いた屋根の小屋に住んでいるんですけど、例えばその中で一眼レフの手入れとかしてるんですよ。

ーーひょっとして、Wi-Fiが飛んでいたり。

コムアイ 1箇所だけ、運が良ければ通じるところがあります。太陽光パネルで発電してるから、天気も関係するんです。ああ、雨だから繋がらないね、とか。

太田 その日にエンジニアがいないと動かなかったり。先住民系ではない人が村の外からエンジニアとして常駐してるんですけど、その人がしょっちゅう用事を作って何週間も村からいなくなっちゃったりするので、そうするとWi-Fiが止まったりします。

 

ーーワンピス族の方々は、自給自足で暮らしているのですか?

太田 基本的に自給自足です。「チャクラ」と呼ばれる畑から収穫したものとか、川で獲った魚とか、森で狩猟したイノシシとか猿の肉とか。家の外で放し飼いにしてる鶏とかを食べてます。イグアナとかワニも食べたな。

2024.09.11(水)
文=平田 裕介