妻子を日本に呼び寄せたネパール人コックが子どもの教育に無関心で、2世がドロップアウトして不良化するという、往年の中国残留孤児2世や出稼ぎ中国人の2世とも共通する問題も起きている。
現在、ネパール人は在日外国人の国籍別人数の6位を占めるが、「インネパ」の店舗数に比して、実態は可視化されにくい。だが、彼らのビジネスや直面する社会問題は、先達の中国人やベトナム人と通じるところもある。
単なる「カレー本」としてのみならず、異文化理解の扉として読める一冊だ。
むろはしひろかず/1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイに移住。日本語情報誌に在籍し、10年にわたりタイ及び周辺国を取材。帰国後はアジア専門のジャーナリストとして活動。著書に『ルポ新大久保』『北関東の異界 エスニック国道354号線』『ルポ コロナ禍の移民たち』など。
やすだみねとし/1982年生まれ。紀実作家。『戦狼中国の対日工作』『北関東「移民」アンダーグラウンド』など著書多数。
カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」 (集英社新書)
定価 1,800円(税込)
集英社
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2024.05.20(月)
文=安田峰俊