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●やさしさ100万ドルな「doubt,」、夢が伝染してくる「ALFEE」

 5thアルバム「doubt,」は、聴くだけでむちゃくちゃイイ女になったと錯覚できる歌が多く、聴きながら私は浅野温子ばりに髪をかき上げ、陶酔した。曲がすべて終わった後、鏡に映った自分を見て我に返り、ビールを噴いたが。

 どちらにしても「アイニージュ!」と求めてくれたり「ドンクライ(泣かないで)!」と励ましてくれたり、「グッナイ……」とやさしく寝かしつけてくれたり、情緒不安定な50代にとって音楽の常備薬。プレイリストに入れておくのがオススメだ。

「夕なぎ」は、今さらだが、夢を追う主人公が出てくるスペシャル青春ドラマのエンディングとして起用されないだろうか。

 そして6thアルバムの「ALFEE」。音楽の専門知識がほぼない私ですら「このサウンドはさ……」とウンチクを語りたくなるようなパワフルさ。なるほど「メリーアン」は近いぞ!

 上昇志向を感じるだけでなく、夢が伝染してくるような楽曲の流れ。「夢よ急げ」の疾走感からぶわーっと来て「愛は想い出の中に」でふわーっと浮遊感が漂い、「真夜中のロマンス」でシャーッとブランデーを注文したい気分にさせられ、ラスト「OVER DRIVE」で「夢よ急げ」というキーワードを回収してくるあたり震える!

2024.05.18(土)
文=田中 稲