山あいを歩くことで、見えてくるものは――。

 自然の中を最長6時間以上かけて歩き、各エリアに配置されたアート作品を通して雄大な自然を体験するという「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」。奈良県南部・東部に位置する奥大和を舞台にした唯一無二の芸術祭が、今年も大盛況の中、終盤を迎えようとしている。

 2020年のコロナ禍で生まれた「MIND TRAIL」。“歩く”そして“心の中に美術館をつくる”というコンセプトのもと、世界遺産でもある吉野町、天川村、曽爾村を歩き、土地や人々と対峙しながら、自然と作品、そして自分の心と静かに対話するというユニークな芸術祭だ。

 第一回目からのプロデューサーを務めるのは、パノラマティクス主宰の齋藤精一さん。吉野エリアのキュレーターには、東京五輪の「動くピクトグラム」を手がけた映像デザイナーの井口皓太さんが、曽爾エリアのキュレーターは奈良に移住した写真家の西岡潔さんが参加している。

 そして、天川エリアのキュレーターはモデルのKIKIさん。アートにも造詣が深く、山歩きがライフワークという彼女は、第一回目は来訪者として、二回目からはアーティストとして参加し、今回初めてキュレーターを務めることになった。

【KIKIさんコメント】

「今年キュレーターとして関わるにあたり、マインドトレイルのコンセプトでもある「会話・対話」を特に心がけました。様々なジャンルのアーティストに参加をお願いし、彼らと作品をつくりあげていくなかでも、天川の豊かな自然、歴史や文化に触れ、そしてそこに住む人々との交流を大切にしてほしいと願いました。また、訪れた参加者たちにも、自然との対話、人々との会話が基軸となってつくられた作品を通じて、天川をより深く知る機会になってもらえたらうれしいです」

 修験道の聖地でもある天川のコース作品を、KIKIさんと巡るキュレーターツアーも2022年10月29日(土)に開催。そのほか天川エリアを中心に、今後も事前予約が必要なく、無料で参加できるイベントも予定されている。

 会期は11月13日(土)まで。平坦な道やハイキングコースが主なルートではあるが、山道も歩くため、登山用の靴があるとベター。そのほかの持ち物や会場のまわり方はHPに詳しく書いてあるので、しっかりチェックして秋のアート巡りを楽しんで。

2022.10.28(金)
文=CREA編集部