アイヌの伝統を探求する、注目作家のアトリエ

 卓越した技が生み出す美しい紋様と、そこに秘められた独自の世界観。アイヌといえば、守り継がれてきたモノ作りに惹かれる人も多いだろう。

●Rempei Mizuno [白老町]

 白老町にアトリエ&ギャラリーを構える水野練平さんは、アイヌの正統な木彫りを探求する作家のひとり。

 ウポポイの前身であるアイヌ民族博物館で木工を学び、2011年には、史上最年少で伝統工芸士として認められたという実力の持ち主だ。

 「昔と同じ作り方で、伝統に忠実なアイヌの工芸品を制作しています」と語る水野さん。

 イタ(盆)、マキリ(短刀)のほか、ニス(臼)やイユタニ(杵)、トンコリ(伝統的な弦楽器)などの制作を手がけることもあるという。

 そして、顧客と実際に顔を合わせ、会話をしたうえで制作に取りかかり、現在のところ完成まで1年以上待ちだそう。

「イタをはじめ、出来上がったものは、実際に使い込んでほしいですね。そうすると本当にいい味わいになります」

 ギャラリーにはカフェも併設しており、コーヒー袋の封を切る水野さんの手にはマキリが。道具はやはり日常で使ってこそなのだ。

 なお、不定休も多いので、訪れる際は、できれば事前にメールで連絡してほしいとのこと。

 一生ものにしたい逸品との出会いがここにある。

Rempei Mizuno

所在地 北海道白老郡白老町東町2-4-8
※訪れる前には、ホームページからメールで連絡を
アクセス JR白老駅から徒歩約10分
http://www.mizuno-rempei.com/

取材・文=矢野詔次郎
写真=志水 隆
協力=北海道観光振興機構