最新ミュージアムで知るアイヌの壮大な世界

 2020年7月に開業した「ウポポイ(民族共生象徴空間)」は、縄文から擦文文化などを経たのち、北の大地で独自の文化を紡いできたアイヌの世界観を学べるナショナルセンター。

 “今”を生きるアイヌ、和人、そして多様な人々の在り方や関係について思索を巡らせる、貴重な機会となるだろう。

●ウポポイ(民族共生象徴空間) [白老町]

 アイヌの言葉で「大きい湖」を意味するポロト湖の畔に、2020年7月にオープンした「ウポポイ(民族共生象徴空間)」。

 先住民族・アイヌについて立体的に学べるミュージアムであるとともに、長く独自の文字を持たなかったがゆえに記録が少なく、不明な部分が今なお多い歴史文化を研究し、未来へ発信するナショナルセンターとしての役割も担っている。

 広大な敷地には、アイヌの暮らしに関わりの深い40種以上の草木が生い茂り、アイヌ民族の視点を大切にした展示を特色とする国立アイヌ民族博物館、伝統芸能の上演やモノ作り見学をはじめ多彩な体験を楽しめる国立民族共生公園、そして海を望む丘の上には慰霊施設とモニュメントがそびえ立つ。

 それらを通じて体感できるのは、旧石器時代から縄文、続縄文、擦文と連なる悠久の時の流れを受け継ぎ、さらに大海原を渡る交易の民として活躍したアイヌ民族の壮大な世界観。

 ウポポイ訪問をきっかけとして、アイヌの歴史、美意識、自然観について、もっと深く知りたくなるに違いない。

 また、ミュージアムショップには、さまざまなオリジナルグッズや、アイヌの工芸品などがいっぱい。こちらも必見だ。

ウポポイ(民族共生象徴空間)

所在地 北海道白老郡白老町若草町2-3
電話番号 0144-82-3914
開園時間 冬季9:00~17:00、夏季9:00~18:00(土・日・祝・夏休み期間は20:00まで)
閉園日 月曜(祝日の場合は翌日)
料金 1,200円
※新型コロナウイルス対策のため、事前予約制を実施中。お出かけの際は、最新情報をご確認ください(2022年1月現在)。
アクセス JR白老駅から徒歩約10分
https://ainu-upopoy.jp/

取材・文=矢野詔次郎
写真=志水 隆
協力=北海道観光振興機構