和ろうそくの炎は神秘的で清らか

 芯の中が空洞になっている和ろうそくの炎は、ろうそくの中を空気が通るため、大きくゆっくりと幻想的に揺らめきます。また、風が吹いても消えにくく、蝋垂れや油煙も少なく、室内を汚すこともないのです。

 現在一般的に販売されているろうそくの原料は石油。大量生産を前提としたろうそくに比べると、機能的であり、美しい昔ながらの絵ろうそくですが、製造に手間と時間がかかります。今では昔ながらの製法で作っているお店も少なくなってしまっているそう。

 蔵が立ち並び、ノスタルジックな風情の七日町通りにある「ほしばん絵ろうそく店」は江戸時代から会津藩のお抱え職人として当時の製法を今でも守り続けています。創業1772年というこのお店は現在なんと9代目。製法はもちろん、絵ろうそくに描く絵柄も奇抜な絵柄などを描くことはなく、伝統的な四季折々の花をモチーフにしています。

 こちらの「ほしばん絵ろうそく店」では絵付け体験もできます。伝統的な絵柄の見本を見ながら季節の花を描くも良し、オリジナルの絵柄を描くも良し。

 自分だけのオリジナルろうそくの炎を眺め、ゆっくりと旅の思い出に浸る。そんなとっておきの時間を体験してみてはいかがですか。

ほしばん絵ろうそく店

所在地 福島県会津若松市七日町3-33
http://hoshiban.com/

2021.12.02(木)
文=CREA編集部
撮影=山元茂樹