《大阪》太郎フーズ

 道頓堀のランドマーク「くいだおれ太郎」。一切の躊躇なく、“太郎”を引き立たせる、いさぎよき缶。黄色い「くいだおれ太郎サブレ」は10年以上売れ続けるロングセラー商品。“太郎”の顔型をした“ボールチョコ缶”は、この主張の強さがたまらない。大阪式美学を感じる。

《大阪》一創堂

 缶に描かれているのは「なにわちょろけん」。「ちょろけん」とは江戸時代、門付け芸(かどづけげい/大道芸の1つで各家をまわり、玄関先で芸を演じることで、その家に福をもたらすと言われた)としてなにわの人々に愛されたキャラクター。元祖ゆるキャラだ。大阪弁の「ちょける(おどける・ふざける)」は“ちょろけん”が語源とも言われている。しかし明治以降廃れ、姿を消した。それを一創堂店主が現代風にアレンジし、「なにわちょろけん」として再生。大阪土産の代表的な存在となった。

 

《兵庫》ル・パン神戸北野

 ハーバーランドにある、70室すべてがオーシャンビュー・テラス付きのスモール・ラグジュアリーホテル。このホテルの朝食に出されるパンをぜひ買って帰りたいという顧客からの要望によって生まれたのが、直営のスイーツ&ベーカリーショップ「ル・パン神戸北野」。この人目を惹く独創的なデザインの缶には、“ル・パン”の名物であるレモンケーキが入っている。缶に印刷されている「1868」は神戸港が開港した年。この缶は2017年、神戸開港150年を記念して作られた。華美になりすぎず、でも華やか。そこが神戸らしい。

《兵庫》三ツ森本店

 有馬温泉の代表的銘菓・炭酸煎餅。明治末期に「三ツ森本店」の創業者・三津繁松が製造・販売したのが始まりと言われている。この缶はある人に素敵だと教えてもらって知った。「和と洋風レトロの混合」をテーマに、京都出身の日本画家がデザインしたという。青とオレンジ、反対色のかけ合わせなのにどぎつく感じないのは、間に白とゴールドがあるおかげ。計算しつくされたデザイン。

2021.11.07(日)
文=中田 ぷう