料理屋ならではの蝦夷前天ぷらとは?

 いよいよ天ぷらだ。まずは鮮度のいい食材のプレゼンテーション。北海道ならではの特大のアスパラや帆立など、どの食材もピンとしていてツヤツヤ。美味しそうだ。

 最初は車海老から。カラリと揚がった香ばしい脚と、揚げ加減の違う2種類の身。アスパラは薄く衣を付けて軽く揚げた茎の部分から。生のシャキシャキ感も残る旬の味だ。甘みのある穂先は素揚げで。春の味覚ふきのとう、海苔で包んだ特大の帆立と続く。

 車海老は道外のものだが(北海道では車海老は獲れない)、続く食材は全て道内のものだ。

 ここで、一度凍らせたアサリの出汁に、余市で摘んできたというアサツキを浮かべたすまし汁でひと休み。

 後半は、まるまると太った椎茸に始まり、ウニと本ワサビが載った揚げ海苔。ここで、前半でいただいたアスパラの根元が中まで熱が通って甘みを増して登場した。続いて、ウロコがカリカリと香ばしいキンキ。あん肝と本ワサビが載っていてこれも絶品!

 最後は、師匠である東京・銀座「天ぷら 近藤」の看板料理のアレンジ、じっくり時間をかけて中まで火を通したサツマイモにバターを載せて。村井さん曰く、「師匠のお店では実際に天ぷらを揚げることはなかったので、“修業”ではなく、“研修”したということにしています」と。師匠の傍らで油の音を聞いたり、色を見たり、まかないで揚げさせてもらったりして学んだという。

 シメのご飯は、「鉄の街」として知られる室蘭の室蘭工業大学で特別に造られたダッチオープンで炊いたご飯。特大の穴子の天ぷらと余市で摘んできたというアサツキが載っていて、目の前で豪快に混ぜ合わせて提供してくれる。お出汁が添えてあるので、天バラと天茶の両方の味を楽しむことができる、特製の「成(まさ)まぶし」だ。

 最後の甘味の、濃厚なアイスとブルーチーズの天ぷらの組み合わせも絶妙! 季節を変えてまた訪れたいお店である。

天ぷら 成(masa)

所在地 北海道札幌市中央区南4条西4丁目7 松岡ビル1F
電話番号 011-231-7280
営業時間 第一部 17:30〜、第二部 20:00〜
定休日 日曜・祝日
http://www.naniwatei.com/
Instagram @naniwatei_1962

たかせ藍沙(たかせ あいしゃ)

トラベル&スパジャーナリスト。渡航160回超・70カ国超、海外スパ取材300軒超、ホテル取材2000軒超、ダイビング歴800本超。日々楽しい旅の提案を発信中。主な著書は『ファーストクラスで世界一周』(ブックマン社)、『美食と雑貨と美肌の王国 魅惑のモロッコ』(ダイヤモンド社)、『 LOVE! ROSE 薔薇のチカラでもっとキレイになる!』(宝島社)。楽園写真家・三好和義氏と共著の『死ぬまでに絶対行きたい 世界の楽園リゾート』『地球の奇跡、大自然の宝石に逢いに… 青の楽園へ』(ともにPHP研究所)。
Twitter @aisha_t
ブログ http://ameblo.jp/aisha/
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CREA WEB連載「たかせ藍沙のファーストクラスで世界一周

2021.06.19(土)
文・撮影=たかせ藍沙