店の外には初代村井夫妻の笑顔の写真が掲げられている。開店祝いのランの花を嬉しそうに見守っているようだ。 「浪花亭」店舗内の暖簾をくぐると、高級感の溢れる佇まいのカウンターがある。 先付けは子持ちイカの煮付け。これぞ北海道の味! サクラマスの漬け。山わさびとコリアンダーシードが味に奥深さを出してくれる。 北海道の旬の食材。藍色のマスクは手作りだ。 カリッと揚がった車海老の脚。いよいよ天ぷらの始まりだ。 車海老の身は軽く揚げたものと、強めに揚げた2種類を順に。 旬の太いアスパラは、穂先、茎、時間をかけて揚げた根元と、それぞれまったく違う味わい。 香りと苦味が春を感じさせてくれるふきのとう。 薄く衣を付けて揚げた海苔に、ウニと本ワサビを載せて。手で摘まんで口に放り込むと磯の香りとウニの甘みを本ワサビの辛みがピリリと引き締めてくれる。 ウロコが香ばしいキンキは、あん肝と本ワサビをオン。 師匠の店「天ぷら 近藤」の看板料理、さつまいもの天ぷらは、バターを載せて蝦夷前に。 シメの穴子の天バラは、1口食べてからお出汁をかけて天茶にするという、1膳で2度楽しめる「成まぶし」。 甘味も秀逸。最中に入っているのは、60度で4時間煮詰めた牛乳で作ったアイスと、北海道産のブルーチーズの天ぷら。クローバーの蜂蜜をつけながらいただく。 店主の村井成至さん。写真を撮るためにマスクを外していただいたら、現れたのはとびきり爽やかな笑顔! 胸の刺しゅうにも使われている店名のロゴは、父・隆さんが、「天ぷら 近藤」の油と墨を混ぜて書いたという。