日常づかいの美しい紅型を手にする
さて、日常のなかでもっと気軽に、楽しく紅型を取り入れてみたい……。
そんな人におすすめの工房も沖縄県内には、いくつかあります。
なかでも今回注目したのは、繊細な作風で多くのファンを魅了している「カタチキ」。
にぎわいにあふれる国際通り周辺とは違って、昔懐かしい、のんびりとした空気が残っている首里崎山町。その一角にある白い建物がそのアトリエです。
主宰するのは、崎枝由美子さんと比嘉裕子さんのご姉妹。
首里のアトリエでは、染色担当の崎枝さんが日々、紅型作りに勤しんでいます。
これまで紅型といえば、着物を仕立てるための反物が中心で、気軽に手にすることはできない高級品でした。
一方で、お土産もの屋さんなどに並んでいるのは、プリント布地を使ったカジュアルな雑貨ばかり。
そこでカタチキでは、伝統的な手仕事によって生み出される「本物」でありながら、日常づかいできる紅型を提案しています。
アトリエを代表する人気の一品が、シルクのストール。
繊細な風合いで、透け感がとても美しく、シルクならではの軽やかな肌触りに、思わずうっとり……。そして何といっても、風情ある落ち着いた色合いがカタチキの紅型の魅力。
和装にも洋装にも、さり気なく、すっと寄り添ってくれる素敵なアイテムです。
そのほか、ブックカバーやクラッチバッグなども気になるところ。
小物もすべて崎枝さんが手染めし、比嘉さんが丁寧に縫製。
ひとつひとつのアイテムに詰まった手仕事に思いをはせれば、きっとさらに愛着が湧いてくるはず。日常のなかで大切に使っていきたい逸品なのです。
14~15世紀に生まれ、長い歴史を受け継ぎながら、新たな感性も加わって、さらに魅力的な紅型の世界。それをめぐる旅ではきっと、これまでとはひと味違う、心豊かな沖縄時間に出会えることでしょう。
カタチキ
電話番号 098-911-8604
営業時間 月・金・土 10:00~16:00
アクセス ゆいレール首里駅から徒歩約10分
https://www.katachiki.com/
今回取材した「紅型をめぐる旅」を動画でチェック!
豊かな自然に育まれた沖縄の伝統工芸「紅型」の魅力をたっぷりと動画で紹介します。
取材・文=矢野詔次郎
撮影=橋本 篤