紅型の技で生み出されるポップアート

 今、紅型は伝統工芸としてだけでなく、コンテンポラリーアートとしても注目を集めはじめています。

 そのきっかけとなったひとりが、宜野湾市の工房で日々、創作に励んでいる「紅型研究所 染千花」の知花幸修(ゆきなが)さん。

 紅型の伝統的な技法を駆使し、古典柄の絢爛な色彩・文様が、ポップアートの感性と融合。

 長い歴史とともに受け継がれてきた紅型が、知花さんの作品のなかでは、これまでにない魅惑のオーラを放ちます。

 2020年4月には、オニツカタイガーとコラボしたシューズが発売されるなど、その活躍の世界はユニーク。

 手塚治虫さんのカルト的名作漫画「I.L(アイエル)」に登場する少女をモチーフに、全身を紅型の古典柄で埋め尽くした〈TATOO GIRL〉も話題を集めています。

 知花さんの作品は、基本的にオーダーメイド。

 現在のところ、常設で作品を取り扱うギャラリーなどはありませんが、ウェブサイトではトートバッグをはじめとした一部のアイテムが購入可能です。

 また、工房では紅型教室も主宰しています。

 これが、観光施設などで行われている「びんがた体験」とはまったく異なる本格派。

 週1回のクラスに参加することで、紅型のプロフェッショナルを目指すことも可能。はるばる飛行機で通い続けている生徒さんもいらっしゃるといいます。

 それほどまでに、紅型の世界は魅力的なのです。

紅型研究所 染千花

オンラインショップやオーダーの相談などはウェブサイトから。
http://somesenka.com/

取材・文=矢野詔次郎
撮影=橋本 篤