コロナ禍で気づいたのは、より心地よい空間に住みたいという欲求。

 整理され掃除がいきとどいた部屋、クリーンな空気、目に優しい照明……さらに花があれば、自然が息づく潤いある空間に。

 花とともに暮らすハウツーをフラワーデザイナーの佐藤俊輔さんに教えていただきました。5回にわたって特集します。

» 「センス良くて長持ちさせる花の飾り方」篇
» 「フレッシュな花の買い方」篇
» 「いい花屋さんの見分け方」篇


花を買うのに良い日とは?

 前回「センス良くて長持ちさせる花の飾り方」は花を迎え入れる準備と、買った後にすべきことについてお伝えしました。

 今回は「花屋さんで花を買う」ことに、フォーカスします。

 花屋さんで花を買った経験がある人も多いと思いますが、せっかくなら、ただ花を買うのではなく、スマートに買ってみませんか? 賢く花を買うためのセオリーをいくつかご紹介いたします。

 花を買うときに、金額や内容、花屋さんのブランドを気にする人はいても、「花を買う曜日」を気にかける人はなかなかいないのではないでしょうか?

 実は花を買うのにいい日と、避けたほうがいい日があるんです。

 2020年1月5日(日)、豊洲市場初競りにて1億9320万円で大間のマグロが落札されました。一方、17世紀オランダのチューリップバブルではヨーロッパの富裕層がこぞってチューリップの球根を買い求め、球根ひとつに現在の価値で1億円もの高値がついたともいわれています。

 魚介類と同じように、花も生きもの。それを扱う市場があり、競りによって取引されています。

 花は口にするものではありませんから、鈍感になりがちですが、例えばお寿司屋さんに行こうとなったとき、「市場の閉まっている日曜日は避けたほうがいい」とか「(休みの長い)お正月にはいいネタがない」などの話を聞いたことがあると思います。

 お寿司屋さんと同じで、ほとんどの花屋さんも市場で花を仕入れるので、新鮮な花を手に入れるなら、市場の開催日を意識することが大事です。

 東京や大阪をはじめとする大都市圏の生花市場は、月・水・金に切り花の競りが行われています。市場の情報はインターネットで公開されていますので、自分の住んでいる地域の市場がいつ競りをしているかは、簡単に知ることができます。

 つまり、花屋さんは花を月・水・金に仕入れているので、基本的にはその日に花を買えば、新鮮な花を入手できます。

 ちなみに、同じ花屋さんに並んでいる花でも、市場から到着したてのフレッシュな花と、店舗に残っている花では、持ち帰ってから、キレイに飾れる日が丸3日違うこともあります。

 ただ、月曜日に一週間分のお花を一気に仕入れるなど、お店によっては市場がやっていても、仕入れに行く日と行かない日を決めているケースもあります。

 自宅や勤務先の近くなど、よく足を運ぶお気に入りのお店があるなら、お店の人にいつ仕入れをしているのか聞いてみるのもおすすめです。

 花屋さんに仕入れ日を聞くのは失礼なことではありません。私が勤務していたお店では、月・水・金には「今日はお花の入荷日なので新鮮です!」とお客様にアピールしていました。

 また、市場で早朝に取引された花が花屋さんに輸送され、店頭に並ぶまでにはタイムラグがあります。

 大体お昼過ぎごろにその日仕入れた花が店頭に並ぶことが多いので、そのくらいの時間帯を狙うと、新鮮な花のなかから、好きなものをチョイスできます。

 逆に、買うのを「避けたほうがいい日」は日曜日。土日に切り花の競りをする市場は少ないので、日曜日の花屋さんに並ぶ花は、どんなに新鮮なものでも金曜日に仕入れたものである場合が多いのです。

2020.07.16(木)
文=佐藤俊輔
撮影=平松市聖