メグジット騒動以降、英王室が見出した新路線

 ただ、2月14日の過ごし方についても「ウィリアムはケートに考え抜いた贈り物をするでしょう。でも2人のお気に入りのイタリア料理屋でのディナーは無理かも。お忍びの外出はもはや不可能だから。結局、自邸での寛いだファミリーディナーとなるでしょう」(同前)などと、地味さ、ファミリーライフが強調されるのである。

 マイアミで世界のセレブと交歓するメーガンとは対照的な、ケートの手作りディナーと白バラのバレンタイン。明らかに「メグジット(ハリーとメーガンの王室離脱問題)」騒動後の新しい英王室路線の演出が見えてきている。

 たとえばバレンタイン直前にウィリアムとケート、そしてチャールズ皇太子とカミラ夫人の4人が珍しく一緒に公務を行った。イングランド中部にある英軍の防衛医療リハビリ施設訪問である。リハビリ用のバスケットボールの練習に車椅子で参加したウィリアムを、皇太子が肩もみする父子の微笑ましい姿が大きく報道された。

 皇太子夫妻と2人の王子との関係は、ダイアナ妃との離婚、悲劇的な死、そしてカミラとの再婚の流れで、常にぎこちなさがつきまとってきた。だが、メグジットという英王室の危機に際して、そのイメージを180度転換させ、仲睦まじいファミリー、その中心に清楚で庶民的なイメージのケート妃の存在がクローズアップしてきたのだ。

女王の速断にはジョンソン首相の進言があった?

 今回の王室のイメージチェンジの仕掛け人が、意外にもボーリス・ジョンソン英首相だという見方がある。

「英女王は週に一度、首相の報告を受ける慣習ですが、ジョンソン首相の場合、型通りの報告から踏み出した相談が行われている節があります。英王室の一大危機をいかに乗り切るか。ジョンソンは大衆がなにを求めているか、瞬時に察知するのに長けた政治家です。今回の王室離脱問題では女王の速断にも首相の進言があったとみるべきでしょう」(首相の元同僚)

 英国論を二分させた英EU離脱(ブレグジット)騒動の仕掛け人が、メグジットでは事態の収拾に腐心しているとすれば滑稽だ。それも英王室の将来を案じているわけではなさそうだ。

「ジョンソン首相は徹底した現実主義者です。大切なのは”Meファースト”。いかに自分がEU離脱後の宰相として国際舞台で輝き続けることができるか。最大の切り札が英王室。そしてエリザベス女王は、英国主導の50カ国余りからなる英連邦のかなりの加盟国で今も元首なのです」(同前)

 英女王はじめ主要な王室メンバーが臨席する3月9日の英連邦記念日式典参加が, ハリーとメーガンにとって最後の「ロイヤル」な公務となる。

※こちらの記事は、2020年2月23日に公開されたものです。

記事提供:文春オンライン

2020.02.29(土)
文=坂井 明