ワインと楽しむ本格ポルトガル・キュイジーヌ

 もちろん、マカオではポルトガル料理もポピュラーな食べ物だ。ポルトガルレストランに必ずあるのが、バカリャウ(干し鱈)を使った料理。コロッケの「パスティス・デ・バカリャウ」、千切りにしたバカリャウをポテトやタマネギと炒めて卵とじにした「バカリャウ・ア・ブラス」、グラタンの「バカリャウ・コンナタス」などがその代表的なメニュー。ポルトガルでは、バカリャウ料理には365日のレシピがあると言われるほどの国民食だが、ここマカオでも定番中の定番となっている。ほかに、豚肉とアサリをハーブとともに炒めた「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ」など地方料理も人気のメニュー。

左:パスティス・デ・バカリャウは、レモンをきゅっと絞って食べる前菜
右:バカリャウ・コンナタスとカルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナは、日本人の口にも合う味

「ダックライス」は、鴨肉の出汁で米を炊き込んだ名物料理。スプーンでご飯をすくえばすくうほどに、鴨肉やチョリソーが現れて、食べごたえも十分。まるで日本の朝食のようなイワシの炭火焼き「サルディーニャス・アサーダス」も、立派なポルトガル料理だ。こういった料理に添えられるポルトガル風のパンも香ばしく、食が進む。バカリャウを挟むもよし、料理のソースをつけて食べるのもよし、ポルトガル産オリーブオイルをつけて、ワインのおつまみにするのもおいしい。

鴨肉の旨みがぎゅっとつまったダックライスは、ジューシーな炊き込みご飯

 本格的なポルトガル料理をひきたてるのが、ワイン。日本でポルトガルワインというと、ポートワインが有名だが、マカオには、ポルトガルのドウロ地方からアレンテージョ地方のものまで、白も赤も豊富に揃う。南欧の日差しをたっぷりと浴びて育った葡萄で作るワインは、温暖な気候のマカオで飲んでも、やはりおいしい。なかでも、「ヴィーニョ・ヴェルデ」と呼ばれる軽い口当たりの微発泡の白ワインは、塩っけの強いバカリャウ料理にもぴったりだ。タックスフリーのマカオでは、ワインの価格も、日本に比べると破格の安値。市内のスーパーマーケットには、手頃な値段のワインが並んでいる。

左:ポルトガル料理にも広東料理にもよく合うマカオビール。ラベルは、世界遺産の聖ポール天主堂跡をデザイン
右:「ヴィーニョ・ヴェルデ」の中でも、おすすめは「カザル・ガルシア」。ダックライスやアフリカンチキンにもよく合う

 限られた滞在日数で、マカオ料理を食べようかポルトガル料理にするか悩んでしまうところだが、長くポルトガルの統治下にあったマカオでは、実際のところ、その区別は曖昧だ。しいていえば、ポルトガル料理の一番の特徴は、スモークハムやバカリャウなどの加工食品が多く使われていること。一方、マカオ料理は、広東料理の伝統をくみ、新鮮な魚介類がよく使われている。ポルトガル人シェフのいるレストランにこだわるのなら、タイパ島の「阿曼諾葡國餐」「安東尼奥」などが、旅行者にも利用しやすいだろう。

» 各店舗の詳細データは3ページ目に掲載しています。

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2012.12.13(木)