■ホウ・シャオシェン
ホウ・シャオシェン
1947年中国・広東省梅県に生まれ、翌年家族とともに台湾に移住。『川の流れに草は青々』(82)が批評家たちに絶賛され“台湾ニューウェーブ”の代表的存在に。代表作に『風櫃の少年』(83)、『冬冬の夏休み』(84)、『童年往時 時の流れ』(85)、『恋恋風塵』(87)、『悲情城市』(89)など。
ホアン監督の父とは同級生
家族ぐるみの付き合いです
ホアン・シー監督が私の撮影現場にインターンで来た時はまだニューヨーク大学の学生でした。
私と彼女の父とは中高一緒の同級生で家族ぐるみで親しい間柄なんですよ。だから、卒業して助監督として私のところにやってきたのはとても自然な流れでした。
ホアン・シー監督が書いた『台北暮色』の脚本を読んだ時、現代の台北の家庭をとても上手く描いていると思いました。現代の台北の家庭を描いた映画は少ないですし、これまでにない特別なものを感じました。
私は読んですぐに、ホアン・シー監督に撮影しなさいと言ったのです。
しかし、撮影はすべて彼女にまかせ、現場にも行きませんでした。脚本が完成したときに、少しだけ意見を言った程度です。
現代であり、都会を舞台にした作品は、自分にとって得意な分野でもないので、何も力になれないと思っていましたからです。
『台北暮色』は、台北を上手に描いたということでは、エドワード・ヤン監督の『台北ストーリー』以来だと思います。
私は台北人ではありませんし、ずっと台北に住んでいる人と同じものは撮ることはできません。ホアン・シー監督は、私よりもエドワード・ヤンに近いと感じています。
まだホアン・シー監督は映画を撮り始めたばかりですから、まずは自分の経験を物語にする事が大切だと思います。
彼女の武器は台北っ子であること。また育った家庭環境がとても豊かですから、沢山の作品が撮れると期待しています。
2018.11.03(土)
文=CREA WEB編集室