世界を旅する女性トラベルライターが、これまでデジカメのメモリーの奥に眠らせたままだった小ネタをお蔵出しするのがこのコラム。敏腕の4人が、交替で登板します。
第190回は、名前は知っていてもどんな国かは知らない人が多いあの国を、芹澤和美さんが訪ねます。
最大の都市アルマトイは
居心地のいい街
![カザフスタンの人たちはみんな笑顔がチャーミング!](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/9/5/-/img_9538d07427e044aebcd3869095643ec1180536.jpg)
カザフスタンにウズベキスタンにトルクメニスタン……。いつか、国名に「スタン」と付くところを旅してみたいと、ずっと思っていた。日本と同じアジアだけれど、旧ソ連の名残もあって、シルクロードや遊牧民族の歴史を思い浮かべる中央アジアの国。その夢が、ようやく2018年の夏に実現した。
![カザフスタン最大の都市はアルマトイ。山麓に広がる住宅街はカラフルでかわいらしい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/3/-/img_53d35af4bb682d3b53ebf7b96bd4979c194525.jpg)
行き先は中央アジア最大の国、カザフスタン。2017年から、最長30日までビザが不要になった今こそ、行き時だ。この国最大の都市アルマトイと首都アスタナを1週間で巡る旅に出た。
![アルマトイの絶景スポット、「コクトベ」から市内を一望。天山山脈を背景に高層ビルが立ち並ぶ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/9/-/img_193ce1599c96910953142ac88658024d111474.jpg)
ソウルからアルマトイまで、カザフスタンのフラッグ・キャリアであるエア・アスタナで約6時間半~7時間。帰路はアスタナからソウルまで同じく約6時間。中央アジアというと遠いイメージがあるけれど、意外と日本からアクセスしやすい。
![アルマトイの街中は、夏だけに炎天下は暑かったけれど、湿度が低く日陰はとても爽やか。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/-/img_84115c6b6ab01ae6f11d213c3434ef07289260.jpg)
今回は女性ふたり旅。道連れは、ソウルで翻訳家として活躍している旧友だ。お互い、出発前はドタバタで街の下調べをする余裕はなく、「予定は立てず、その日の気分で気ままに街を歩こう!」と開き直って、旅がスタートした。
アルマトイの空港で合流した後、ホテルのフロントでもらった地図を片手に、さっそく街歩きへ。
![有名な観光スポットだけでなく、通りに立つ銀行や企業の建物も美しい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/7/-/img_e743fdaada765db74473157c8d9ed552263519.jpg)
アルマトイは、1997年までこの国の首都だった大都会。天山山脈に見守られるなかに、緑豊かな街並みが広がっている。旧共産圏らしい巨大で無機質な建物があるかと思えば、ヨーロッパ風のかわいらしい建物が並ぶ通りもあって、風景はなかなか面白い。
![アルマトイの語源は「リンゴの里」。かつて、街にはリンゴの花の香りが漂っていたという。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/-/img_c1cd029dcd6abc4b5879dd711a4e8db0217027.jpg)
歩くに連れ感じたのは、街が清潔なこと。道にゴミは落ちていないし、歩道も広くて歩きやすい。道行く人も、見間違えてしまうほど日本人とよく似たアジア系が多くて、なんだか和む。
![街中には、アイスクリームショップやバーガーショップがたくさん。言葉が分からなくても、それほど買い物には困らない。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/f/0/-/img_f05c12ae9849a6fff58a856571e7e70b212122.jpg)
ホテルや大き目のレストラン以外はほとんど英語が通じないし、店名もロシア語なのかカザフ語なのか、ちんぷんかんぷん。
でも、人に地図を指さして道を尋ねれば、なんとか頑張って答えてくれようとする。ちょっと愛想笑いをしてしまうところも日本人と感覚が似ていて、親近感が湧く。
![女性がビールを頼むと、ストローが付いてくる。「女性は上品にビールを飲みましょう」ということらしい。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/8/-/img_b829442a25f209e6a4f13125bee41d0d142314.jpg)
旅先では、有名な観光スポットを巡らなくても、ぶらぶらと歩くだけで、心が満たされることがある。居心地のいいアルマトイは、まさにそんな場所。1日歩いて、すっかりこの街が気に入ってしまった。
2018.08.21(火)
文・撮影=芹澤和美