初詣で引いたおみくじが最後の扉を開いてくれた

――実際に復帰に向けてアクションを起こし始めたのはいつぐらいからだったのでしょうか。

 年明けを迎える頃には少しずつ感性を取り戻し、ようやく外に出られる心持ちになりました。それで1月末に初詣に行ってみたんです。何の気なしに引いたおみくじで大吉が出て、そこにはすごく前向きな言葉が並んでいました。それまでの僕は、自分に対しても世の中に対しても希望を見出せずにいたのですが、そのおみくじの言葉によって、自分の中で一つ大きな扉が切り拓かれたような感覚があったんです。

 その時の経験をテーマに書き上げたのが、新しいアルバムにも入っている『SOS』という曲です。それが僕にとっての大きな一歩でした。いざ動き出してみると、周りの人たちが等身大の僕を受け止め、再び前へと駆動してくれる。その存在が、たまらなくありがたかったですね。

ADVERTISEMENT

――休養に至った時の「負のスパイラル」とは逆の現象が起きたんですね。

 元々僕は、日常の些細な「ボタンの掛け違い」すらも、澱みのように心に溜め込み続けてしまうタイプで。それが作品作りに繋がっていた反面、自分自身を追い詰める原因でもあったんです。一度ネガティブな思考に陥ると限りなく落ちてしまう人間だったんですが、今回の活動セーブを経て、色々な人の温かさに助けられ、ようやくそういう自分にさよならできた気がしています。

 今はとにかく気楽に生きようと。今日みたいに太陽をたっぷり浴びて、セロトニンを出すようにしています。休む前は極端な夜行性だったので(笑)。吉田類さんの『酒場放浪記』が大好きなんですが、あの番組のように、自分の好きなものを自分のペースで楽しむ生き方が今の理想ですね。

ADVERTISEMENT


 「自分の好きなものを、自分のペースで楽しむ」――休養という深い立ち止まりを経てたどり着いた崎山蒼志のこの柔らかな境地は、日々を慌ただしく生きる私たちにとっても、心を軽くするための大切なヒントになるはずだ。

崎山蒼志(さきやま・そうし)

2002年8月31日、静岡県出身。’18年、ABEMA『日村がゆく』への出演をきっかけに注目を集める。同年、ファーストアルバム『いつかみた国』、’19年にセカンドアルバム『並む踊り』を発表。’21年1月27日にアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビュー。2025年11月に休養を発表。4月に復帰アルバム『good life, good people』をリリース。今後も多くのライブ、イベント出演を控えている。