ガラス、木炭、生成AI……若手アーティストたちの多彩なドローイング
では、実際にどんな作品が展示されているのでしょうか。出展作家の中から話を聞いた3名の作品を見ていきましょう。
まず、木々津さんの展示はガラス作品です。これまで油絵を制作してきた木々津さんにとって、ガラス作品を発表するのは今回が初めて。反射や透過によって像や光が変化するガラスに興味を持ち、「絵のモチーフを自分でつくってみたい」とガラス工房へ通い始めたそうです。
吹きガラスを体験すると、油絵を描くときとはまったく異なり、体全体の動きやバランス、重心がガラスの形に刻まれていくように感じたと言います。そこで、身体の動きによって生まれたガラスの形をドローイングとして展示しています。
一方、中村天嶺さんが用いているのは木炭。美術大学の入試などでも使われる木炭は、中村さんにとって絵画の基礎に立ち返るための画材です。
油彩作品に取りかかる前にまず木炭で紙に描き、自分の中にイメージを沈み込ませてから油彩へ。こうした基礎を大切にする中村さんの制作への姿勢が、今回の作品にも表れています。
そして、會見明也さんが制作に取り入れているのは生成AI。普段は生成AIでつくった画像をコラージュし、それをもとにエアブラシを使って油彩作品を制作しており、その過程で数千、数万もの画像を生成するため、使われない画像も大量に残るといいます。
そうして使われなかった画像をトレーシングペーパーに印刷し、水やボンドを使ってインクをにじませる。さらに、それらを圧縮し再び形にしていく。そんなプロセスから生まれた作品は、色が複雑に重なり合い、奥行きを感じさせる不思議な表情を見せています。
作品を一つひとつ見ていくと、それぞれの発想やアプローチの違いが見えてくるのもおもしろいところ。油画第6研究室の自由な空気が、作品を通して伝わってくるようです。
