CREA2026年秋号の「1冊まるごと人生相談」特集が、現在好評発売中! CREA WEBではその一部を抜粋してご紹介します。
今年も人気Podcast「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」とのコラボが実現。ジェーン・スーさんと堀井美香さんに、読者のお悩みにじっくりお答えいただきました。心を太陽の向こう側へ導く、珠玉の金言をお届け!
【相談】若い才能に嫉妬してしまう
【お悩み】
職場の後輩(20代)の圧倒的な才能と要領の良さに対して、ドロドロとした嫉妬を抱えて苦しんでいます。私が10年かけて身につけたスキルを、彼女はたった数カ月で軽々と超えていきました。表向きは「すごいね!」と応援する良い先輩を演じていますが、内心は悔しくて、彼女が少しでも失敗するとホッとしてしまう自分がいます。年齢を重ねれば器の大きな大人になれると思っていたのに、自分の心の狭さに絶望。この醜い嫉妬心とどう付き合えばいいですか?(39歳・女性・器は極小サイズ)
スー 自分より上手くできる人への嫉妬心なんて、誰の中にでもありますよ! 39歳なら、まだ全然あるある。だから、もしこの先も今の職場でやっていきたいと思うなら、自分が倍頑張って、若い子が上手くやっても「どうぞどうぞ」って余裕で見守れるところまで、圧倒的な努力をするしかない。自分が欲しい結果に対して、自分のポテンシャルがどれくらいあるか、冷静に見つめ直す時期なんじゃないかな。
堀井 相手とそれだけ年が離れていたら、「頑張れー!」って応援する気持ちになってもいいんだけど……嫉妬心って人間きっと死ぬまでなくならないんだよねぇ。でもさ、39歳と20代の新人なら、もう立っているステージが違うじゃない?
スー そうそう! 競う側から、マネジメントというか、この子を育てる方に意識を切り替えていかないとね。
堀井 相談者さんがもう一段、意識を成長させないとダメかもね。39歳ならもう会社の中で中堅的な立ち位置のはずだし、この20代の天才をどう指導して会社に貢献させていくか、下の人たちをどう育てるかっていう方に尽力することを、会社からも求められる立場だと思うから。自分の役割は、これまでとはまったく違うステージに移ったんだっていう意識を持った方が楽になれるかも。
スー 本当にそう。20代前半ぐらいならしょうがないけど、40歳近くなったら、仕事においては能力があるとかないとかじゃないのよ。他者のことや周りの環境に思いを馳せるっていうのは、もともとの才能の話ではないから、自分で意識をチェンジするしかないんです。それこそアナウンサーなんて、毎年若い才能がボンボン出てくるわけじゃない?
堀井 そうだねぇ。でも私は早くに結婚して子どもを産んだから、キャリアの最初の方から同僚と自分を同じカテゴリーとして考えてはいなかったんですよね。「私は子持ちアナウンサーとして、同僚とは別のステージに立っているんだから、この時間帯でこういう働き方をすればいいんだ」と考えるようにしていて。そもそも競うには、立場も状況も違う。無理してもしょうがない。そう思うと焦ることもなかったんです。
スー それってあとから思うとラッキーなことだったよね。
堀井 本当にね。同期が帯番組をやったり、年下がバラエティ番組で活躍したりしていても、別世界に思えて「みんな頑張ってるな。じゃあ私はここで何をしようかな」って客観的に考えられたのは非常に良かったです。
スー その時期に、先輩が良いこと言ってくれたんだよね。
堀井 そうなんです。土日も出られない、朝早いのもできないってちょっと悩んだ時期に、先輩が「今は子育てしなさい。後でアナウンサーとしての仕事をバリバリやって、最後帳尻が合えばいいですよ」と言ってくれて。
スー 相談者さんにやってほしいのは、堀井さんの先輩みたいに若い人に対して肯定する言葉を言ってあげること。才能に嫉妬する側じゃなくて、この子が何か困ったときに助けてあげる側になってほしい。自分の自信がない部分を刺激してくる周りの人を排除することはできないからね。だからこそ、この子たちをどう羽ばたかせるかという意識を持ってほしいな。
堀井 非現場で監督する立場なのに、現場感をバリバリ引きずっていつまでも競ったりして、少し痛い人になってるケースも時々聞いたりするから。「競うことのやめ時」って大事なんだろうね。
スー 嫉妬心は誰にでもあってしょうがないものだけど、そこに飲み込まれず「自分の役割は違うんだ」という認識にチェンジする。切り替えられないと、やっぱり仕事を続けていくのがしんどくなっちゃうから。自分で意識を変えていくことが大事ですね。
文=綿貫大介 写真=平松市聖 コラージュ=Nao/petitoto スタイリング=宮崎真純(likkle more) ヘアメイク=yumi(ThreePEACE)
CREA 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
