◆5位『ふたりバス』豊林サカネ/小学館

あらすじ

人口約3000人の緑豊かな町に暮らす春平は中学2年生。全員保育園からいっしょの同級生の中で唯一私立中学に進んだあんちゃんと、同じバスで通学している。小学校時代とちがって会話がなくなっていたが、ふとしたきっかけで少しずつ距離が近づいて……。バスを舞台に描かれるデリケートな年齢の少年少女の心の動きに、思わず顔がほころぶ。

――5位『ふたりバス』は田舎町が舞台。春平は、たった20人の同級生の中で唯一よその町の私立中学に進んだあんちゃんと同じバスで通学するものの、小学生時代のようには会話できなくて……というあまずっぱい物語です。

江上 私もバスが1時間に1本来るか来ないかという土地で育って、同級生が16人しかいなかったので。

近藤 江上さんは、同学年の男子全員好きになったんでしょ(笑)。

江上 何年もかけてね(笑)。まぁ、そういう興味から読み始めたんですが、ふたりが少しずつ言葉を交わすようになっていく様子が丁寧に描かれていて。学生マンガはあまり読まなくなったのですが、こんなにも心が浄化されるとは。

宇垣 ふたりを乗せてるバスの運転手さんの立ち位置で読んでます(笑)。

江上 まったく同じです(笑)。

つづ井 このもどかしい中学生の幼馴染同士が、どんなふうにお互いを意識しだすのか、という小さな芽生えがすくい取るように描かれていてドキドキです。

江上 恋愛じゃなくても心の距離が縮まるかどうかって、スマホのある昨今難しいと思うんです。それを田舎の、ふたりきりになってしまうバスで表現するのが本当に胸にズギューンときましたね。

宇垣 バス通学したことないのに、謎の懐かしさを感じました。

近藤 急がずゆっくり進んでいく関係性が、バスの特性とも重なりますね。

つづ井 描く側から言うと、バスの中ってせまいし、見慣れているものだからちょっとでもサイズ感が違ったりパースが狂うと違和感を覚えるはず。舞台装置として画期的なアイディアであり、精密に描けるのはすごいと思います!

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CREA夜ふかしマンガ大賞とは…

マンガを愛する3組4名の特別選考委員とCREA編集部の推薦により選ばれた「思わず夜ふかしして読みたくなる」そして、「今、CREA読者に本当におすすめしたい」作品に贈る賞。2025年8月~26年7月に単行本の新刊が発売された(ただし、合計5巻以内)、もしくは、雑誌などに最新話が発表された作品から選出。

【CREA夜ふかしマンガ大賞2026選考委員】

フリーアナウンサー・俳優
宇垣美里(うがき・みさと)さん

1991年兵庫県生まれ。2014年にTBSに入社。19年に退社し、現在はドラマや舞台出演、ラジオパーソナリティ、執筆業など多方面で活躍。『週刊文春』で「宇垣総裁のマンガ党宣言!」を好評連載中。
写真 ©MASAKAZU YOSHIBA


お笑い芸人
ニッチェ 近藤くみこ(こんどう・くみこ)さん(右)、江上敬子(えのうえ・けいこ)さん(左)

マセキ芸能社所属。1983年三重県生まれの近藤さんと、84年島根県 生まれの江上さんによるお笑いコンビ。昨年、「女芸人No.1決定戦 THE W」にて9代目女王となる。今年9月5日に8年ぶりの単独ライブ「ビフテキ」を開催した。


マンガ家
つづ井さん

元気で楽しそうな姿が評判を呼んでいる。現在は『とびだせ! つづ井さん』『チャレンジ! つづ井さん』(CREAコミック&エッセイルーム)、『つづ井さんのご自愛ください』(アサコミ)をトリプル連載中。

次の記事に続く 前代未聞の笑えるホラーな不倫ストーリーから、心に沁みる...

CREA 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。