◆2位『復讐が足りない』冬野梅子/講談社
あらすじ
転職3回目でようやく正社員雇用された復田朱里。女性を下に見る同僚や、街中でぶつかってくるおじさんに苛立ちつつ、社会に適応して穏便に暮らそうと思っている。しかし、社内で起こっていた性加害事件の犯人・北広が罰されていない状況を知り、復田は看過できないという強い思いに突き動かされる。そして、北広と正面から対決し……。
江上 2位の『復讐が足りない』は表向きにはデキる会社員、家庭では良きパパを演出してうまいこと生きている北広の描き方が超リアル。じつは彼が性加害者だと知った主人公がどう行動していくのか……。展開がものすごい!
宇垣 ネタバレは差し控えますが、このヒロインむちゃくちゃですよね。罪も犯してしまうし(笑)。
江上 主人公に共感できない(笑)。でも、そこがおもしろい。主人公の世界に引きずりこむマンガとしてのパワーが魅力。面倒なことを見て見ぬふりする会社の人たちの描き方もリアリティがありますね。世の中、コンプライアンスを更新していこうという雰囲気はあるけど、根っこはまだ変わっていない。
近藤 そこを容赦なく炙り出してますね。
つづ井 主人公は、自分が重要な事実に気づいていなかった……ということは目を背けていたのかもと気づく。そして、大変なことに巻き込まれるというか……。
江上 自ら飛び込んでいますよね。これは目を背けられなくなった女性の話。
近藤 しかし、どこに到達するのかまったく想像がつかないですね!
宇垣 主人公も愚かだったり自己中心的だったりするから、落ち着いて読めないおもしろさがあります。
江上 終始、冬野先生の言語化能力に感服します。微妙な感情を正確に説明しきっているんですよね! 実は私、この絵柄を見てほっこりしたマンガだと思って読み始めたんです(笑)。想像とは違ったのにグイグイ引きこまれました。
CREA 2026年秋号
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