“GT(グランドツーリング)”の真髄を感じに、中国西域の大自然を走る

 大陸で車を走らせること自体、そもそも島国に暮らす日本人には非日常というか、エキゾチックな体験。それが世界でもっとも海から遠く離れた地域と聞けば、尚更だ。

 イタリアの自動車メーカーにして老舗ブランド、マセラティはネプチューンの三叉の鉾をロゴに定めて今年、1世紀の節目を迎えた。その記念に上海から本社のあるイタリア・モデナまで、様々な国や地域のカスタマーやジャーナリストが代わる代わる乗り継ぐ形で、ユーラシア大陸横断のグランドツーリングを企画。日本のメディアが担当したのは、中国の新疆ウイグル自治区、烏魯木斉(ウルムチ)から伊寧(イーニン)間の約700kmで、上海から数えてすでに5つめの区間とのことだった。

 北京から中国国内のフライトに乗り換え、西へさらに4時間。ウルムチが近づいて機体が高度を下げ始めると、左舷の窓向こうに天山山脈が迫ってくるのが見えた。ウルムチの東、ボゴダ峰は5445mもの高峰だが、これとて天山山脈の中では支脈に過ぎず、中国とキルギスタン国境のポベーダ山に至っては7443mにも達する。頭では分かっていたが眼前にすると、そのスケールに圧倒された。

 中国西域やシルクロードの旅と聞くと、砂埃の舞う未舗装路を延々と往く……というイメージかもしれないが、新疆ウイグル自治区は近年は経済開発に伴うインフラ整備が著しいエリア。石炭や石油、金属鉱山の採掘といった産業視点だけでなく、華北・華東や直轄市などのすでに経済発展を遂げた地域からの内需拡大を喚起するカギでもある。つまりは観光誘致で、それを可能にするのが、新疆の豊かな大自然と歴史遺産なのだ。

 だから往年の天山北路、シルクロード最北のルートには2014年に4200km超の全区間が開通した高速道路「G30」が通っている。ひたすら直線路を走り続けながら、時折サービスエリアで休憩をとるのだが、売られている地産品も異国情緒そのものだった。

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