肌トラブルが出てしまう? レチノールとの正しい付き合い方とは

――「レチノール=肌に刺激が強い」というイメージを持つ人は少なくないようですが、その理由はどんなところにあると思いますか?

「使い始めの時期に『レチノイド反応(通称:A反応)』と呼ばれる、一時的な肌荒れのような症状を経験される方が比較的多いからではないかと思います。具体的には、肌の赤み、ポロポロとした皮むけ、乾燥感、少しヒリヒリとしたかゆみなどです。これはアレルギー反応ではなく、これまでビタミンAが不足気味だった肌に急に成分が補給されたことで、ターンオーバーが急速に進むために起こる、正常な生理反応の一つと言われています」

――先生は、使用する際の注意点として、どんなことをお話しされていますか?

「最初は毎日塗るのではなく、『2~3日に1回、夜だけ』というように少量ずつ始め、肌をビタミンAに慣らしていくのがお薦めです。また、レチノールを使用する前後は、肌のバリア機能を守るために、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分をいつもよりたっぷりと補給することを伝えています。それでも刺激が気になる場合は、化粧水や乳液を先に塗ってからレチノールを重ね、さらに上からクリームで蓋をする“サンドイッチ塗り”をすると、浸透がおだやかになって刺激を感じにくくなることがあるとお話していますね。

 また、レチノールを使用している時は、ターンオーバーが早まってデリケートな肌状態です。強い紫外線が当たると、いつもよりメラニンが過剰に作られやすくなります。シミをケアする目的で使っていたはずが、かえって濃くなってしまったように見えるトラブルも起こりうるので注意が必要です」

――となると、夜の使用がベストなのでしょうか?

「原則としては夜使用がお薦めです。純粋レチノールや医療用のレチノイン酸は、光や熱にとても弱い性質があるため、朝に塗って紫外線にあたると、成分自体が分解されて期待する効果が出にくくなってしまい、肌の上で刺激物へと変化してしまい、肌荒れを招く原因になることがあります。

 ですから、日中の徹底した紫外線対策がお薦めです。外出時はもちろん、できれば室内にいるときでも、日焼け止め(SPF30以上が目安)を塗るよう心がけてみてください。

 最後に、古い角質をケアするピーリング成分(AHA、BHA、サリチル酸など)や高濃度のビタミンC、ニキビ治療薬(過酸化ベンゾイルなど)といった、刺激になりやすい成分との同時併用は避けたほうが安心です。それぞれ良い成分ではあるのですが、お互いの成分の特性によって、肌に負担がかかりすぎてしまうことがあります」

レチノール使用には「向き」「不向き」がある?

――使ってみたいけれど、自分に向いているかどうか不安に思う人もいるようですが……。

「肌が比較的丈夫で、過剰な皮脂にお悩みの方や毛穴の開き、肌のゴワつき、ニキビができやすい脂性肌の方には、とても相性が良い成分だと言えます。

 また、20代後半から30代以降になり、目もとや口もとの乾燥小ジワやハリの低下など年齢に応じたエイジングケアを本格的に始めたい肌にも向いています。

 一方で、重度のアトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎がある方、あるいはバリア機能が低下して粉を吹くほど極度に乾燥している肌には、あまり向いていないですね。

 また、レチノールやトレチノインを含有する製品については、妊娠中や授乳中の方は原則として使用を控えていただくよう、医療現場ではお伝えしています」

――最近では、海外からの輸入化粧品を使う人も増加していますが、注意点はありますか?

「欧米の方と日本人の肌を比較した場合、日本人の肌は比較的デリケートで、刺激を感じやすい傾向があるとする報告もあります。

 また、個人輸入した化粧品については、日本国内で正規に流通している製品と同じように品質や安全性が確認されているとは限りません。万が一肌トラブルが起きた場合にも、成分や製品について十分な情報が得られず、対応が難しくなる可能性があります。

 そのため、海外製品を使用する際は、成分や使用方法をよく確認したうえで使用することが大切です。

 何か肌に異変を感じた場合は、無理に使い続けたり自己判断したりせず、すぐに使用を中止して皮膚科などの医療機関に相談することをおすすめします」

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