とてもよく耳にするスキンケア成分のひとつ、「レチノール」。なんとなくの働きはしっていても、実際肌にどんな効果があるのかを知っている人は意外と少ないよう……。正しい知識をもってお手入れをするために、皮膚科医の安達富美先生に成分の特徴や気をつけるべきことをお聞きしました。

お話を聞いたのは……

アヴェニュー銀座クリニック 皮膚科医
安達富美 先生

岡山大学医学部卒。日本皮膚科学会会員。2025年より現職。シミ、シワ、ニキビなどの治療を得意とする。「もっと肌をきれいにしたいという想いに寄り添える医師でありたい」がモットー。


レチノールには種類があり、肌への働きかけも異なる

――そもそもレチノールはどんな成分なのでしょうか?

「ひと言で表すと『ビタミンAの一種』。肌の細胞に働きかけて肌の生まれ変わり(ターンオーバー)を促し、みずみずしく若々しい印象の肌を保つために役立つ、とても優秀な美容成分です」(安達先生・以下同)

――ビタミンCには「ピュア」や複数種類の「誘導体」などがありますが、ビタミンAは一種類だけなのでしょうか?

「こちらも種類が複数あり、どれも肌の中で最終的に『レチノイン酸』に形を変えることで、初めてそのパワーを発揮します。

 まず、医療機関で処方される『レチノイン酸(トレチノイン)』。ビタミンAの中で最も肌に対する作用が強く、肌変化を実感しやすい反面、刺激も比較的出やすいのが特徴です。そのため、医師の管理のもとで使用する医薬品に分類されています。

 次に、化粧品店などでよく見かける『レチノール』。肌から吸収されると皮膚内の酵素によって変換され、最終的にレチノイン酸へ変化して働きます。効果と副反応のバランスが良く、日本の厚生労働省からも『シワを改善する有効成分』として承認されているため、医薬部外品や高機能化粧品によく配合されています。

 一方、パルミチン酸レチノールなどの『レチノール誘導体』は、肌の中でさらに何回か形を変えるプロセスを経て、ゆっくりとレチノイン酸になります。非常にマイルドで安定性が高く、肌を優しく労りながらビタミンAを補給することができるため、一般的なスキンケア化粧品に広く使われており、『守りのビタミンA』とも呼ばれています。初めてレチノール配合のアイテムを使用するなら、ここから始めるのがいいでしょう。

 『肌への効果がしっかりと期待できるものほど、肌への刺激が出やすい』という特徴を心得ておくのがいいと思います」

レチノールの効果は多彩! エイジング悩みにオールマイティに働く

――エイジングケア成分として名高いレチノールには、どんな肌効果がありますか?

「まずは『肌のターンオーバーを促進する効果』です。肌のゴワつきやくすみの原因となる古い角質が自然と剥がれやすくなり、表皮基底層周辺のメラニンの排出が促されます。さらに真皮の血管新生作用もあり、肌の創傷治癒を促進する働きもあります。

 次に『肌のハリや弾力をサポートする効果 』です。コラーゲンやエラスチンを増やして肌のハリを取り戻して小ジワを改善します。さらに長期使用により真皮の厚みが増すため、紫外線による肌の老化の進行を防ぎ、本来の健康な肌を取り戻す働きもあります。

 さらに『皮脂バランスを整え、うるおいを保つ効果』です。 余分な皮脂を抑え、肌を健やかに保ちます。また、表皮ヒアルロン酸の産生を促進して肌の水分量の増加をもたらします」

 エイジングで肌が変わってきたと感じる世代には、嬉しい効果ばかりですね!

クリニックでは「シミ」「繰り返すニキビ」「エイジングケア」に活用

――クリニックでは、どのような肌悩みを持つ患者さんにレチノールを処方しますか?

「主に『シミ・肝斑』『繰り返すニキビ』『年齢による肌の変化』にお悩みの方にご提案することが多いです。

 例えば、深いシミや肝斑、ニキビ跡の色素沈着にお悩みの方には、医療用の「レチノイン酸(トレチノイン)」を処方することがあります。レチノイン酸が肌の生まれ変わりを促してメラニンを追い出す役割を担うので、メラニンを作る工場(細胞)の働きをブロックして、新しいシミが作られるのを根本から防ぐ役割を持っているハイドロキノンと一緒に処方することが多くあります。

 また、市販のケアではなかなかきれいに治りにくいニキビや毛穴の開きでお悩みの方には、毛穴の詰まりを防いで新しいニキビを予防することや、肌のキメを整えてなめらかにすることを目指して処方しています」

――気になるエイジングによる肌悩みの場合は?

「レーザー治療だけではカバーしきれない顔全体の小ジワや、紫外線ダメージによる肌のハリ不足でお悩みの方には、医療機関専売の高濃度レチノール化粧品を、肌の引き締めとハリを出すための“サポート役”として処方させていただいています」

 幅広い肌悩みに対応できる、それがレチノールなんですね。

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