土と水、自然な農法で育まれたお米、微生物の力を活かした調味料、その土地の自然環境に適応する在来種の野菜。今、そういったもともと日本人がつくり続けてきた食品は0.1%以下の流通量になってしまっています。

 自然と文化が織りなし生まれた食品を「素の味」と呼び、もう一度、素の味が食卓にあるのがふつうの風景にしていけたらと始まった、会員制スーパーマーケット「Table to Farm」のディレクター・相馬夕輝さんに、日本の素の味を教えていただきました。

 今回は、米味噌の『素の味』について。

» 変わりゆく日本の米味噌文化
» 120種類の米味噌から『素の味』を選ぶ
» 青大豆から野生麹菌を採取し、木桶で仕込む「未来/マルカワみそ」
» 在来種・亀治の自然栽培米で作る「自然/藤原みそこうじ店」
» 足元にある自然に気づいて味わえるおいしさ


変わりゆく日本の米味噌文化

 日本には現在、およそ1200〜1300ほどの味噌蔵があります。しかし、遡れば1959年にはおよそ3000軒の味噌蔵が存在していたようです。規模ももっと小規模な味噌蔵が存在していたでしょうし、もっと言えば、家々でまだ自家用の味噌を自分たちでも仕込んでいた時代だったとも言えます。当時は、ほぼ全量が国産の大豆でまかなわれていましたが、今では国産大豆で仕込まれている味噌はたった5%に過ぎないとか。

 時代の変化とともに変わりゆく日本の伝統調味料の味噌。今回は、中でも国産の味噌のおよそ8割のシェアを持つ米味噌の『素の味』についての旅。

 天然醸造の米味噌は大豆と米を主成分とし、麹菌や乳酸菌、酵母菌などの微生物による発酵熟成をした、およそ半年から1年、長いとそれ以上の期間を使って長期熟成した味噌のことを言います。生きた微生物たちの働きをじっと見守りながら、おいしい味噌が育くまれていくのを待ちます。

 天然醸造を行う蔵では、木桶に、屋根に、大黒柱にと、そこかしこに棲みついた様々な微生物たちがいます。クリーンな製造環境も大事ですが、一方で、人間目線だけのクリーンさではなく、微生物たちが生きやすい環境を作っておくことも非常に重要な要素となります。同じ材料で、同じレシピで味噌を仕込んだとしても、どの味噌蔵も同じ味にならないのは、微生物たちという見えない存在があるからこそ。

次のページ 120種類の米味噌から『素の味』を選ぶ