今年で10年目を迎えた人気ホラーチャンネル「禍話(まがばなし)」。生配信サービス「TwitCasting」で2016年から始まった同番組では、これまでに語り手である北九州の書店員・かぁなっきさんが知り合い経由で集めたおぞましい実話怪談を、なんと3,000話以上発表してきました。

 今回はそんな禍話から、異常な貼り紙が見つかる廃墟に足を踏み入れてしまった若者たちのお話をご紹介します――。

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面白半分で心霊スポットや事件現場を訪れる若者たち

 若い頃というものはどうしても誰かに強く見られたい・舐められたくないという思考と、浮き足立った好奇心が入り混じり、よくない言動を繰り返してしまいがちです。

 とりわけ、こうした心理が仲間内で競争のように蔓延してしまうと、その歯止めは瞬く間に緩くなってしまうもの。

 当時すでに社会人だったUさんたちのグループも、こうした心理から大方の心霊スポットはもちろんのこと、殺人事件があった現場にも面白半分で足を運んでしまうような行動を繰り返していたそうです。

 地元の仲間としての連帯もあって、仕事が終わってから居酒屋に集合して学生時代のノリで騒ぐなんてこともよくありました。その日も同じように集合し、大声で軽口を叩き合って盛り上がるうちに、“度胸試し”のノリが昂ぶっていったのです。

 そんな中、メンバーの1人であったAさんがこんなことを言い出しました。

「つーかさ、うちのババアってさ、あの弁当作って大量に運び入れるやつ…仕出し屋っつーのか、あれやってんだけどさ、その仕事の中でヤバイ場所の噂聞いたらしいぜ」

 その場所は、Uさんたちが根城にしているエリアから少し離れた駅の近くにありました。

 いつも日の当たらない薄汚れた路地をいくつか曲がった先にある、辛気臭い廃アパート。

 元々はある中小企業用の女子寮として使われていた場所だったそうで、そこには“奇妙なルール”があるというのです。

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