「優しい人」と「愛してる」は全然別
桃子 愛にもいろいろあるじゃないですか。例えば祖母と祖父は同人誌仲間だったから、仲間愛みたいな愛はあると思う。それを男女の愛みたいに言うのはキモい。
響子 母は父のことを、「あの人は優しい人なんだよ」と言っていて、そういう思いはあったのは確かだけど。
桃子 「優しい人」と「愛してる」は全然別で。祖母は、「好きな人を好意的に評価する」ということもしない人だと思うんです。作家として、自分の感情と評価は分けなくてはいけない。そういう線引きはできる。
響子 エジプトで母がコーヒー占いをしたら、占い師が「彼女は娘を非常に愛している」って言ったんです。母はそのことを『娘と私のアホ旅行』(1982年 集英社)で、「そりゃ娘だもの、愛しておるよ!」って書いていました。そういう感じですよ、母の「愛してる」に対するニュアンスは。
桃子 大事に思う。好き。幸せになってほしい。それって全部違うと思うんです。
響子 少し前、母のお見舞いに行った人が、「響子さん、今度病院から帰る時、お母さんにハグしてあげてください」って言うんです。キモッ!てなりました。生まれてこの方、誰ともハグしたことのない者同士のハグですよ? 母にしてみれば「何だいったい!?」ってことになりますよ。私の場合は「それじゃあ、そろそろ帰るわ」って言ったら、母が「ん」って手を出すから、私も「ん」って言って手を出して、親子で固く握手を交わしてきました。
