102歳を迎えた作家の佐藤愛子さんは現在、介護施設に入られています。体の衰えは感じられるものの、愛子節はいまだ健在とのこと。
愛子さん最後のインタビューも収録! 娘の杉山響子さん、孫の杉山桃子さんが「佐藤愛子」の家と仕事とお金と恋について語った『ぼけていく私』から、一部を抜粋、ご紹介します。
「愛してる」という言葉が大嫌い
大変な借金を作って出て行った2番目の夫・田畑麦彦氏について
〈元亭主にもさんざんな目に遭わされましたけど、彼が起こした現象に対して怒りはするけれども、その本質的なところではね、彼は彼なりに一生懸命生きてるんだと思っていました〉
(「クロワッサン」2016年8月25日号)
響子 そういうふうに思いながら、帰ってくると水をぶっかける。それが母の活火山なんですよ。彼は悪い足を引きずって一生懸命金策に走っている、遊んでいたわけじゃない。そうわかっていても、活火山が水をぶっかけちゃうんです。
田畑氏を同情的に語ると……
〈そんなふうに話すと『晩鐘』の読者が“やっぱり佐藤さんはご主人を愛しておられたんだわ”とかって言うんですよ。もうムカついてね、何を寝言言ってるんだと〉
(同前)
響子 愛してるとか、そういう言葉、大嫌いだから、母は。
桃子 祖母も嫌いだし、母も嫌いなんです。私も嫌いだし。
響子 安っぽい言葉じゃないですか。愛してるって言ってしまうと、一言で終わる。
桃子 説明するのを放棄して、放り込む言葉だと思う。
響子 ブラックボックスだよね。
