時間不足が招く負のループ

 時間に追われる日々が続くと、何が起こるのでしょうか。最近米国で指摘されているのが「時間貧困」という概念です。忙しく、余白のない日々を過ごしているため、本当に大切なことに時間を使うことができない状態を指します。

 例えば、低賃金の仕事をしている人は、生活費を稼ぐために長時間労働になりがちです。もし自分のために使える時間があったなら、その時間をスキルアップなどの自己投資に充てて、収入を上げることも可能ですが、長時間労働ではその時間すら確保することができません。お金があれば家事をアウトソーシングして余白をつくることもできますが、そのお金を生み出すための時間がなく、負のループに陥ってしまうのです。

 ただ、この感覚は実際の所得に関係なく、世界中の人々に広がっています。過去の研究では、時間的貧困がウェルビーイングを低下させることが示されています。心理面では、ストレスや不安が増えたり、うつ病などのメンタルヘルスのリスクが高まったりすることが分かっています。忙しい人は他者を助ける余裕を持ちづらく、また、「忙しい」と伝えることが誇張と受け取られ、人間関係にも悪影響を与える場合があります。

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