結論から言えば、論文とは、「イントロダクション」「本文」「結論」という三つのセクションからなり、イントロで“飛躍”した「アーギュメント」を提示し、本文の「パラグラフ」でその“飛躍”を埋める文章を意味します。図式化すれば、図1のようになり、アーギュメントが大きな“飛躍”を伴うほど、多くのパラグラフによる論証が必要となる。そして、アーギュメントの“飛躍”が大きいほど、それだけアカデミックな価値が高まることになります。

 ちなみに、「アーギュメント=飛躍が重要だ」という議論は、学術論文を念頭に置いたものですが、ビジネス界におけるイノベーションの本質(=既存の価値の刷新)とまったく同じで、コンセプト開発や企画書にも応用できる、という読み方をしてくれる読者もいます。

「アーギュメント」とは何か

 では、「アーギュメント」とは何かをより詳しく見てみましょう。

 一言で言えば、「論文の核となる主張内容を一文で表したテーゼ」のことです。

「テーゼ」とは「論証が必要な主張」のことで、アーギュメントはテーゼの一種です。長い論文は大小いくつものテーゼを含みますが、「論文のなかで最重要の大テーゼ」がアーギュメントになります。

『12週間でジャーナル論文を書く』の著者ウェンディ・ローラ・ベルチャー(プリンストン大学教授)は、論文が学術誌で不採用になるのは、詰まるところ「アーギュメントがないか、またはそれを適切に表現できていないこと」が究極の原因だと述べています。

 要するに「そもそもアーギュメントをもつことに失敗している」というのです。実際、私も自分の初期の論文を読み返すと、アーギュメントを適切に提示できていません。

※約5500字の全文では、アーギュメントを正しく示すための構文を解説しています。全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と「文藝春秋」2026年3月号に掲載されています(阿部幸大「文章は『飛躍』で勝負だ」)。

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