屋台のチキンカレーは、直感と観察眼が必要

 さて、現地でチキンカレーを食べるには、2つの方法があります。1つめは、クーラーの効いたレストランで食べる場合。前のページで紹介したチキンカレーはこのパターンで、これはメニュー表から選んで注文するだけなので簡単。

 2つめは、庶民派のカレー食堂で食べる場合。

インド系の屋台にて、チキンカレー、チャパティ、アイスティーを注文。全部で8リンギット(約250円)。

 「食堂」とはクーラーや窓がなく、道路に全面を開放して営業しているお店のことです。このタイプのお店での、チキンカレーの注文方法が結構ややこしい。というのも、たいていのカレー食堂には複数のカレーが並んでいますが、料理名の表示がありません。カレーの見ためはどれも似ていますし、カレー以外の煮込み料理も多いので、その中からチキンカレーを選ぶのは至難の業。まっ、とは言っても、マレーシアの料理はどれもおいしいので、直感を信じて選べば、その時のあなたにぴったりな味に出会えるはず!? でもどうしてもチキンカレーを食べたいなら、お店の人や隣で並んでいる人に「どれがチキンカレー??」(料理を指さして「カリーアヤム??」)と尋ねてみましょう。

インド系の屋台にはカレーっぽいおかずが多種並んでいる。この中からチキンカレーを選ぶのは難しい。
ブキビンタンの裏通りにある食堂街。「昔、日本人の常連客がいたんだ。だから僕は日本が大好きなんだよ」と店主が話しかけてくれた。
インド系のカレー食堂のことを「ナシカンダー」とよぶ。その昔、行商人が竿(カンダー)に籠をつるし、そのなかに惣菜を入れて売り歩いたのが発祥とされる。

 ちなみに、カレー食堂で、チキンカレーを単品で頼むのはかなり稀。通常のパターンは、ひとつの皿にごはんとカレーやそのほかのおかずを一緒に盛った、いわゆる“ぶっかけ飯”スタイルです。豪快にぜんぶを混ぜて召し上がれ。

ナシカンダーの料理。ごはん、チキンカレー、オムレツ、苦瓜炒めを盛ってもらった。ちなみに、チキンカレーのチキン抜き、つまり具無しのカレー汁は無料で注いでもらえる。
たくさんの人でにぎわう朝のカレー食堂。朝から家族で外食するのはマレーシアではごく一般的な風景。

 この記事を書いていて思い出したのは、マレーシアで初めてチキンカレーを食べたときのこと。異国の料理なのになぜか懐かしく感じたのです。それは多様な食文化や歴史を取り込み、オープンで寛容なマレーシアの文化と同じで、チキンカレーが私を優しく受け入れてくれたのかもしれません。このチキンカレーを食べて、マレーシアにハマった、という人も多数! 日本でもマレーシア料理店には必ずメニューにありますので、ぜひ味わってみてください。

※現地のチキンカレー屋台のお店の様子です。持ち帰り用のチキンカレーをビニール袋に詰めています。手際がものすごくいい!

日本で「チキンカレー」を食べるならココ。日本でもチキンカレーが食べられます。

ちりばり(東京都品川区西五反田)
URL http://r.gnavi.co.jp/kbbzd3mh0000/

ペナンレストラン(東京都港区芝)
URL https://www.facebook.com/PenangRestaurant

マレーアジアンクイジーン(東京都渋谷区渋谷)
URL http://www.malayasiancuisine.com/

マレーカンポン(東京都中央区八丁堀)
URL http://www.malaykampung.com/

マレーチャン サトゥ(東京都豊島区西池袋)
URL http://www.malaychan-satu.jp/

マレーチャン ドゥア(東京都豊島区東池袋)
URL http://www.malaychan-dua.jp/

ラサマレーシア(東京都中央区銀座) ※マラッカ風
URL http://r.gnavi.co.jp/g275501/

ケニーアジア(大阪市中央区千日前) ※ニョニャ風
URL http://kennyasia.com/

マレーシアごはんの会 古川 音(ふるかわ おと)
「マレーシアごはんの会」にて、マレーシア料理店とコラボしたイベント、マレーシア人シェフに習う料理教室を企画・開催。クアラルンプールに4年滞在した経験をもち、『ニッポンの評判』(新潮新書)のマレーシア編を執筆。マレーシアごはんの会の活動のほか、情報サイト「All About」でのマレーシアライター、食文化講演も担当している。
オフィシャルサイト http://www.malaysiafoodnet.com/

 

Column

マレーシアごはん偏愛主義!

現地で食べたごはんのおいしさに胸をうたれ、風土と歴史が育んだ食文化のとりことなった女性ふたりによる熱烈レポート。食べた人みんなを笑顔にする、マレーシアごはんのめくるめく世界をたっぷりご堪能ください。

2015.04.16(木)
文・撮影=古川 音