新しいものに興味を持てる自分を大切にしたい
――今後、プライベートで打ち込んでみたいものはありますか?
興味をもったことをやり始めて、飽きたら手放して、また楽しそうと思ったら始めて、という繰り返しです。極めることはないけれど、趣味はそれでいいと思っているんです。新しいものに興味を持てる自分を大切にしようって思ってるんです。極めなければいけないのは、私の場合は仕事なので、趣味に関してゆるくていいのかなって。なので、飽きてしまったことに対して反省しないようにしています。
――では今、興味を持っていることを教えてください。
アートを鑑賞するだけでなく、「もし自分の家に置くとしたら?」と想像することを楽しんでいます。どんなフレームに入れようか、今、家にある作品とどう組み合わせようか、と妄想を膨らませています。
海外のアートフェアへ足を運び、日本ではまだあまり知られていないアーティストと出会うことからも刺激をもらっています。実際にさまざまな作品を見ていると、自分がどんなものに心を動かされるのかが、少しずつわかってくるんです。「いいな」と感じる経験が積み重なり、理解が深まっていく。勉強して得る知識とはまた違う形で、世界がどんどん広がっていく感覚があります。
音楽については、これまであまり詳しくなかったんです。でも今回、初めて指揮をする役を演じたことで、「もっとたくさんの音楽を聴いてみたい」という気持ちが湧いてきました。自分が興味を持ったものに触れていくと、自分自身のことも、より深く理解できるようになりますね。
――今回の役を通して、指揮者という仕事への見方も変わりましたか?
これまでは指揮者の方を見ても、恥ずかしながら「格好いい指揮をされるな」と、うっとりするだけでしたが、今は全知全能の神のような存在でなければ務まらないほど、大勢の音楽家を率いてまとめあげるのは難しいことだと感じます。
楽譜をどれほど深く読み込み、楽器の音色をどれほど細かく聴き分けているのか。知れば知るほど驚きましたし、私はこれまで、そのすごさを知らずにいたのだとも思いました。
仕事では反省することも多いですが、役を通して得た知識や経験によって、喜びが広がっていくことは、何ものにも代え難いですね。知らずにいるよりも、知ることで人生は豊かになるのだと、日々感じています。
演じた貴理子は、指導者として優れているだけでなく、とても素直で、どんな人にも同じ熱量で声をかけ、対話を成り立たせる力を持っている人です。
彼女のように、分け隔てなく人生を楽しむことを教えてくれる大人は、今の時代とても貴重ですよね。私も、そんな役割を少しでも現場で担えたらいいなと思っています。
鈴木京香(すずき・きょうか)
宮城県出身。高校時代にスカウトされてモデル活動をはじめ、1989年の森田芳光監督作『愛と平成の色男』で俳優デビュー。1991年、NHK連続テレビ小説『君の名は』でヒロイン役に抜擢されてお茶の間の注目を集める。
以降も映画やTVドラマなどで活躍を続け『119』にて日本アカデミー賞優秀助演女優賞、『血と骨』では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝いた。その後も『グランメゾン・パリ』、『栄光のバックホーム』など多数の注目作品に出演。
『キリコのタクト~YELL~』
出演:鈴木京香、藤原大祐、井頭愛海、田辺桃子、西垣 匠、榊原郁恵、小西博之、大島さと子、四方堂 亘、小泉今日子、宅麻 伸、名取裕子ほか
監督・脚本・原作:雑賀俊朗
10月2日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
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