国外27か所、国内13か所。世界を歩きながら、自分自身と向き合い、誰かを“おもう”日々――。地球を舞台に旅した3年間を巡る40篇が収録された、アナウンサー・宇賀なつみさんの旅エッセイの第2弾「おもうがたび」(幻冬舎)から、一部抜粋してお届けする。

 今回の旅の舞台は、仕事で大阪を訪れるたびに立ち寄るという「京都」。中学2年生の修学旅行で訪れたこの街も、今ではまったく違った魅力を感じるようになったそう。宇賀さんが見つけた“大人の京都の楽しみ方”とは……?


ゆっくりおいで/2025年4月 京都

 この5年間、『土曜はナニする!?』の生放送のため大阪に通っているので、その前後で京都にもよく立ち寄るようになった。ここ数年はオーバーツーリズムでどこも混雑し、地元の人達が困惑しているというニュースが溢れている。確かにその通りではあるけれど、有名観光地を避ければ意外と空いているエリアもあり、予約をしなくても入れるこぢんまりとした良店も多い。そんなことを、訪れるたびに少しずつ知っていった。京都にいると言うと誰かが誰かを紹介してくれて、またさらにその人が人を呼び、少しずつ現地の友達も増えていた。

「都をどりを、着物で鑑賞しよう!」

 そんな風にして新しくできた友達が言った。毎年鑑賞しているらしく、チケットも手配してくれるという。ちょうど桜が咲く時期。彼女と違って私は着物など持っていないので、レンタルしてくれるところを探し、今回は「中や」さんにお願いすることにした。HPの写真の中から好みの着物と帯を選んで支払いをすると、カバンや草履、足袋まで一式セットにして指定した場所まで送ってくれるという。なんという便利な時代! 1泊分の荷物だけ持って新幹線に乗り、芸舞妓さんが実際に毎日セットをしに来るという祇園のお店に行って、カーラーで髪を巻かれている間に着付けをしてもらい、あっという間に仕上げてもらった。

 そのままもうひとりの仲間と合流して、皆で歩いて円山公園を目指した。どの枝も満開の桜! 絶好のタイミングだったようで、たくさんの人で賑わっていた。しかし私達は、どうしてこんなに桜が好きなのだろう。青い空の下で、柔らかなピンクが誇らしげに揺れていた。屋台や出店から美味しそうな香りが漂ってくる。ようやく暖かくなって、また夏がやって来る予感に心が躍った。

 思う存分写真を撮った後、隣の八坂神社を通り抜ける。

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