初対面の20代の女性2人組と同部屋に
宿に戻ってからも、また宴会。ひとり、またひとりと部屋へ戻っていく中、残されたのは女子だけ。それならばと部屋に戻って、飲み直すことにした。初対面で同部屋だと言うと、驚かれるかもしれない。私も最初は正直びっくりした。しかも、私以外の2人はひと回り若く20代。ロングヘアの巻き髪にしっかりメイク、ダウンジャケットにミニスカートという出で立ちに一瞬身構えたけれど、話してみるとすごくしっかりしていて良い子達だった。
「ベッドは最初に選んでください」
「洗面所、20分ほど使っていいですか?」
一応先輩ということで、随所で気を遣ってくれたけれど、こちらも気を遣いすぎると余計に距離ができてしまうと思って、腹を割って何でも話すことにした。すると、あちらも心を開いてくれて、仕事や恋愛の話をたくさん聞かせてくれた。不思議なことに、途中から10年前の自分と話しているような感覚になった。
仕事を頑張りたいと思えば思うほど、苦しかったこと。このままずっとひとりで生きていくのかもしれないと、不安だったこと。もうとっくに忘れてしまっていた感情が、だんだん蘇ってきた。今思えば、30歳を迎える直前が一番「オバサンになってしまう」ことに怯えていたかもしれない。あれから10年の時を経て、そんなことは微塵も頭に浮かばなくなった。もはや、オネエサンでもオバサンでもどうでもいい。大丈夫、大丈夫。一生懸命生きていれば、歳を重ねるごとに大切なものが増えていくし、傷もシミも愛せるようになるから……。私はこの深夜の女子会が、一番楽しかった。
翌日は、もっとスピードを出せるようになった。景色を眺める余裕もできて、皆に勧められるまま動画も撮影してもらった。お昼になると、麓の食堂にバラバラと集まって、瓶ビールを開けてまた乾杯をする。熱々の鍋焼きうどんを頬張りながら先ほどの動画を見せてもらうと、思っていたより下手で笑ってしまった。イメージでは、もっとカッコよく滑れているはずだったのに……。まだまだ道のりは長いようだ。
大人達の休日は短い。食べ終わったら、そろそろ東京に戻らなければいけない。
「次に来る時は、もっとうまくなりたい!」
いくつになっても新しい目標は作れるし、新しい友達もできる。これからも、声をかけてもらったら喜んで出かけて行こう。帰り道、そんなことを考えながら窓の外を眺めていたら、いつの間にか眠ってしまっていた。
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おもうがたび
2026年9月16日
定価 1,980円(税込)
幻冬舎
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