国外27か所、国内13か所。世界を歩きながら、自分自身と向き合い、誰かを“おもう”日々――。地球を舞台に旅した3年間を巡る40篇が収録された、アナウンサー・宇賀なつみさんの旅エッセイの第2弾「おもうがたび」(幻冬舎)から、一部抜粋してお届けする。
今回の旅の舞台は、友人の誘いで訪れた野沢温泉。宿では、初対面の20代女子二人組と同じ部屋で過ごすことに。彼女たちとの会話をきっかけに、宇賀さんが思い出した“過去の自分”とは……?
粉雪が舞う夜/2025年3月 野沢温泉
「大人数で宿を貸切にしてスキー合宿をするけど、来ない?」
きっかけは、友達からの誘いだった。寒いのは苦手だけれど、冬が嫌いなわけではない。むしろ、気温が下がってくると雪が恋しくなる。小学生の頃にスキーを始めて、大学時代にスノーボードに移っていたけれど、今回は私以外全員スキーヤーだという。それならばと決心して、まずはスキー板やウエアを揃え、数週間前からYouTubeでイメージトレーニング。できる限りの準備をして、新幹線に乗り込んだ。
東京からたった1時間半。飯山駅でメンバーと合流して車に乗り込むと、そこから20分で野沢温泉村に到着する。はじめましての人も多いのに、挨拶もそこそこに、早速着替えてゲレンデを目指す。皆早く滑りたくて、ソワソワしているのがわかった。
久しぶりに担いだスキー板は、想像以上に軽かった。もう20年も経っているのだから、進化していて当然である。遅れないようになんとか装着し、リフトに乗って、最初の1本。緊張を隠すように、思い切って足を揃えて前に踏み出した。カーブをするたびに少し怖いけれど、体は覚えているようだった。柔らかく滑らかな雪のおかげで、恐怖心も徐々に消えていく。
次はゴンドラに乗って、もっと上まで行ってみよう!
明るくなってきた雪景色を眺めたり、木々の間に鹿を見つけたりしながら、隣り合った人達と自己紹介をする。2本目はもっと楽しくなった。青い空の下、仲間達の後を追いかけ、正面から風を受けて滑っていく。景色を楽しむ余裕が出てきた。
3時間ほど滑り続けると、すっかり疲れてしまった。大人に無理は禁物。各々自由に上がっていいことになっていたので、私はそろそろ切り上げて、湯巡りに向かうことにした。
