◆9位『かみちゃんがいればマル』古田青葉/KADOKAWA
あらすじ
弟の出産をきっかけに、母親につらくあたられるようになった涼子。健気に寂しさに耐える彼女の支えは、お隣に住むいつも紙袋をかぶっている不思議な子、かみちゃんの存在だ。お互いに崩壊する家庭環境にあって、ふたりは強く楽しく生き抜く術を探す。ずっと一緒にはいられないふたりが、どのように成長していくのかも見どころ。9月15日に3巻発売。
江上 9位の『かみちゃんがいればマル』は、なかなかの衝撃作ですね。
――母親からつらく当たられるようになった涼子と、彼女の支えになっている隣の家に住む「かみちゃん」。かみちゃんは、いつも紙袋をかぶっているナゾの存在でもあります。
宇垣 SFっぽい設定だけど、基本的には子どもの成長譚だと思います。不思議な友達がいるだけの話ではなくて。
近藤 子どもなりに人生に立ち向かっていく感じですよね。
――読み進めていくにつれて印象が変わる作品でもありますね。
宇垣 すべての子どものそばにかみちゃんがいればいいのに。そう思ってしまうほど、かみちゃんの存在が愛おしく、ふたりの関係性がまぶしいです。自分のことを受け止めてくれるべき母親を「喪失」している状態で、そこからいかに自分を、自己肯定感を獲得していくか。どう生きていくか選択していくところを見守るような気持ちで読んでいます。
江上 子を持つ母としては涼子やかみちゃんのママを直視しづらかったりします。
宇垣 ママが悪い、という話ではないんですよ。シリアスな展開だけど、希望が満ちていて、ファンタジーと現実、不穏さとほほえましさのバランスが絶妙だと思います。
CREA 2026年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。
