#6 マウナ・カハーラーヴァイ
マウイ島の形は瓢箪の形だ。瓢箪の上の西側がウエスト・マウイ・マウンテンと呼ばれることの多いマウナ・カハーラーヴァイ、下の東側がハレアカラ。カ・ハーラーヴァイとは集合、集まっていることを指す。マウナ・カハーラーヴァイはまさしく連山である。
世界有数の降雨量で知られ、世界一のカウアイ島のワイアレアレを超える年もあるマウナ・カハーラーヴァイの最高峰はプウ・ククイと呼ばれる。雨も多ければ、雲も多いということで、連山の中にそびえるプウ・ククイが姿を見せるときには、つい願い事をしてしまう。
ククイとは、智慧、悟りなどを示すことを思うと、いくつもの山々に囲まれて、奥深く、真ん中にたたずむあたり意味深い。
プウ・ククイの周りを囲む山々のなかで、特に強さを感じるのはマウナ・レオだ。ある方面から見ると正三角形に近い形をしている。ハワイの人々の伝統的なモチーフのなかで、正三角形が示すものといえばレオ、声である。キャプテン・クック到来の1778年まで、口承文化のみであったハワイの人々にとって、レオは重要なものであったに違いない。
プウ・ククイに近づくための入り口はイアオ渓谷のマウナ・レオとプウ・カーネという二つの山の間にある。渓谷に入るときにはいつもすることがある。オリ・カーヘア、入るための許可を願う言葉を唱えるのだ。礼儀を重んじるこのハワイ文化の姿勢に、日本人として共感できることをうれしく思う。
【Access & Advice】
瓢箪の上の西側に滞在していれば、マウナ・カハーラーヴァイはいつでも眺めることができる。プウ・ククイを囲む山々にはすべて名前があり、物語が隠れている。イアオ渓谷に入る際に左手がマウナ・レオになるので、気をつけて眺めてみよう。豊富な水源ではあるが、経済成長にともない水の流れが変わり、必要な水を得られない地域もあり問題になっている。連山の中心にひそむプウ・ククイの湛える水や、水の循環を想像してみよう。
神宮寺愛(じんぐうじ あい)
ライター・コーディネーター・翻訳(英語・ハワイ語)・フラダンサー。出版社勤務後、フリーランスになり、日本文化とハワイ文化に親しむべく、学びの日々を続けてマウイ島在住14年目。13歳の娘とイタリア系アメリカ人のパートナーとの三人暮らし。雑誌への寄稿多数、著書『心と体がピュアになるハワイアンな暮らし』(青春出版社)など。
2014.08.23(土)
文・撮影=神宮寺愛